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「差支えなければ、どんな力か教えてほしいな」
「おれのは……未来が視えるんだ」
どうか笑われませんように、と願いながら迅が口にすると、女性はあんぐりと口を開けた。そのままパクパクと開閉し、硬直する。不覚にも、金魚みたいだと笑ってしまった。
たっぷり五秒ほど硬直した女性は、その後大声で笑った。それはもう盛大に。あんまり豪快に笑うものだから、迅は信じてもらえなかったのだと思い、不貞腐れた。「忘れてくださいよ」と不愛想に告げると、女性は眉を下げて謝った。
「信じていないわけじゃないよ。未来予知か、難しそう」
「……まあね。未来はコロコロ変わるし」
「じゃんけんでもしてみる？」
「じゃあ、二十回連続であいこにできたら証明完了ってことでいい？」
「もちろん」
結局、じゃんけんは二十回連続あいこになった。「君はすごいな！」とまた笑って迅の頭をわしゃわしゃと撫でる女性に、迅の口角は自然と上がる。この力を褒められたのは初めてだ。
ひとしきり笑い終えた女性が、迅に尋ねた。
「君さ、友達いる？」
「……いきなり失礼だね。いるよ」
「ならいいんだけど。だってこんなところに一人でいるんだもの、それも頻繁に。相談くらい乗ってやろうと思っただけだよ」
「……。やっぱいない！ いないよ！」
一瞬でてのひらを返した迅を見て、女性は目をぱちぱちと瞬かせた。しかしふっと余裕そうな笑みを浮かべ、「どうしたの」と聞く姿勢になる。
迅は気恥ずかしさを堪えつつ、女性を上目遣いで見つめる。
「本当に仲が良い友達は、いないからさ……。ときどき、こうやっておれと会ってほしいんだ」
女性は今度こそ驚いたようだった。最初は猫を被り、次に嫌悪丸出しにしたような少年がこの短時間でこんなに懐くとは思わなかったのだろう。迅も思っていなかった。
女性はしばらく考え込んだ。女性は若く見えるので大学生くらいかと思ったが、煙草も吸っているし社会人かもしれない。忙しいならわがままは言えないと、迅が撤回しようとしたそのとき、女性はぽんと手を叩いた。
「わたしもこう見えて忙しい。だから会いに来れる回数は少ないとおもう」
「そっか。うん……」
「なら君がわたしに会いに来ればいい！ どうせわたしはあの建物にいるし、ここからそう離れてもいない。ここに来るのと大した違いはないでしょ？」
女性は自信ありげに迅を見た。
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おみくじ結果は「末凶」でした！
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
