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迅は断られると思っていたので、拍子抜けした。今諦めモードだったのに！ 迅が胸中でもやもやと憤っていたところ、女性は上機嫌に続ける。
「君と年の近い女の子もいるの。遊んでやったらきっと喜ぶよ！ ……少しクセの強い子なんだけど、でもすごくかわいいんだ」
女性が今まででいちばん嬉しそうに笑ったので、迅もなんだか全部がどうでもよくなった。いいや、この人が喜ぶのなら。ちらつく未来でも、この人についていったほうが楽しそうに見える。迅より年下だと思われる少女と大人の男性らの存在も一緒になってちらつくが、迅は気にしないことにした。
「来るかい」と挑戦的に笑った女性に、迅はゆるく口角を上げた。「ぜひ」と答えると、女性は「そうこなくっちゃ」とまた笑う。
さっそく女性は迅と手をつなぎ、もう一方の手に傘を持つ。「おれそんな子どもじゃないよ」と迅が抗議すると、女性は軽く謝りながら手を離した。迅は、自分で言っておきながら、少し残念に思う。
大きめの赤い傘に二人で入って歩き始めると、女性は「そういえば」と口を開いた。
「名前を聞いていなかったね。わたしは
「迅悠一です」
「字はどう書くの？」
「迅速の迅に、悠久の悠、数字の一」
女性改めAはふむふむと頷き、指で空中に字を書きながら歩く。「いい名前だね。どこかのエリートみたい」と言われて、少し照れくさい。「いまぎれ」をどう書くかも説明されたが、難しくてわからなかった。
川の真ん中に建つ不思議な建物は、橋とは目と鼻の先。すぐに着き、Aは慣れたように扉を開ける。きょろきょろする迅に、「悠一君の前でタバコ吸ってたのは秘密ね」とウィンクして、さらに奥へと入っていく。迅はそのあとに続いた。
すると、「あーーっ！」と大きな声が部屋中に響き渡った。高い声の主はそのあと、Aに向かって突進する。
「なんで！ あたしの傘使ってんの？！ お気に入りだって言ったじゃない！」
「うぐっ……桐絵ちゃん今トリオン体……。ゴメン、あんまりかわいかったから、さすが桐絵ちゃんはセンス抜群だよね」
「な？！ そっ、それはそうだけど！ つ、使うなら一声かけてよね！」
ツンとそっぽを向く少女にAはもう一度謝る。もう許したらしい桐絵という子は、今度は甘えたようにAにすり寄って……、
「Aさん、訓練しましょ♡ ……は？ アンタ誰」
これが、迅悠一の初めてのボーダー訪問だった。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
