ゆっくりでいいからね、なんて笑ってみたり。 ページ9
｢エペル君の強みは可愛い顔と負けん気の強さ、あと意外と底意地が悪い所｣
｢褒められてる、のかな？｣
｢褒めてる褒めてる…可愛く歌わなくていいと思うんだわ、これ全然可愛い歌じゃないし｣
｢…確かに、よく読むと可愛くない、ですね…｣
自分の歌詞カードを見て呟くエペル君は、やっと歌う事から聴かせる事に考え方が変わった様子。
目が只管に歌詞を追っている、根は真面目な子が多いよね一年生って。
応援したくなるって、こういう事なのよ。
｢うん、よく歌詞を読んで考えてごらん？きっと君の歌になるよ｣
｢…はい、お…僕、よく考えてみます｣
｢そうしてください…あと、無理して僕って言い直さなくていいよ、ヴィル先輩いない時くらい楽にしなよ｣
｢あ、有難う御座います｣
ふわりとエペル君は笑った。
わぁ…やっぱ可愛いんだなぁ、こいつ。
｢ジャミル君は大丈夫そうだから何も言わん｣
｢ラップの部分もう一度歌ってくれないか？｣
｢嫌です、絶対ジャミル君のが上手いのわかってるから｣
ニヤニヤすんなって言ってんだろーが。
デュース君の方も歌詞を一生懸命読んでる。
たまに口に出てるし、子供か可愛い。
｢デュース君の覚え書き、凄く助かったよ｣
｢え？｣
｢二回聴いて歌えたの、その覚え書きのお陰だと思う、有難う｣
｢あっ、いや…ただ必死に聞いた事とか書いただけで、｣
｢でもそれって曲と向き合ったから書けたんだよ、俺もそれ読んで誰がどう歌うのか想像できた…大事な事だよ｣
｢…ぁ、アザスッ！｣
急にヤンキーになるのどうにかならんのかね。
腹から声出るんだよなぁ…鍛えれば素晴らしい声量で歌えそうだわ。
｢なぁ、一回皆で歌ってみないか？｣
｢カリム君…何を突然、｣
｢ヴィルのパート、Aに歌ってもらってさ！｣
｢はぁ？｣
｢いいですね！練習にもなりますし！｣
｢お、俺もやりてぇ！｣
｢急に口悪…ジャミル君止めてよ｣
｢いいんじゃないか？俺も練習したいし｣
だからニヤニヤすんなっつの…あ、おい、スマホを触るな！
｢ほら、始まるぞ｣
｢…あぁっ！もう！！｣
お前らマジで自分勝手！！
…結局、ヴィル先輩達が来るまでに三回歌わされました。
｢本当に歌だけはまともよね、このじゃがいも｣
｢新しい可能性の音が聴こえるね！ボーテ！100点！！｣
｢…練習だっつの｣
まぁ皆さん、頑張ってくださいよ。
＊＊＊
腐っても軽音部なもんでね。
草っても先輩なもんでね。
これくらいはしてあげたいという先輩心。
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きない(プロフ) - 星猫さん» 弟さんいらっしゃるんですね^^すみません、アニメもあまり見ていないので最近のものはわからないです。 (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 34ae6966a1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 弟のｐｃは貸してくれました。知ってるアニメは何ですか？ (2021年2月25日 12時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きない | 作成日時：2021年2月4日 9時
