百九十七歩 ページ42
打算があったとしても、それがカリム君の為になっているのは確かだし。
トレイ先輩だって趣味みたいなものだから根本は自分の為かもしれんけど。
｢それでも、誰かの為に美味しく作れるのって凄いよね｣
母さんのご飯を思い出す。
それから食堂のご飯。
あと寮生が作ってくれる賄いとか。
どれも美味くて好き。
｢あ、たこ焼きじゃん！｣
パッと離れていくフロイド君が他の寮生と話し出す。
何でたこ焼きあんのー？お前の為だよーという会話が聞こえる。
そのままつまみ上げて口に放り込むのを見て、その場の誰もが笑った。
彼らしくて安心したのかもしれない。
ぐったりしているフロイド君はちょっと嫌だもんね。
大変でも騒がしい彼のが断然良い。
｢これナマコちゃんが作ったでしょ？｣
｢当たり！何でわかるんだよ？｣
｢だってナマコちゃんの味だもん｣
｢やだ卑猥｣
｢先輩の頭が卑猥です…ソースが甘くないからですよ｣
｢ナマコちゃん、ソースにオイスターソース多めでケチャップ少ししか入れねぇから甘くないんだよね｣
｢お嫌いでした？｣
｢好き｣
｢他所でやって頂けます？｣
｢先輩何時から恋愛脳になったんですか｣
あっという間にたこ焼きは平らげられ、上機嫌のままフロイド君はフロアに出て行った。
空になった皿を流しに持っていく。
…溜まった皿洗いますか。
流しに詰め込まれた皿を洗い始めると、今度はジェイド君がやって来る。
フロアの方からアズール君の怒った声が聞こえるんだが？
｢フロイドが機嫌良過ぎてパルクールの勢いで料理運んでるんです｣
｢そりゃ怒るわ｣
｢リドルさん達は料理が上達したようですね｣
｢うん、良かったよね｣
｢えぇ、もうあの暗黒物質を食べなくて済むようで安堵しました｣
苦笑いするジェイド君に良かったねぇと心から言ってしまった。
｢僕はカルパッチョが食べたいです｣
｢…明日ね、用意しとくから｣
お願いします、と微笑むジェイド君の向こうで、誰かが明日の仕入れ表にタコって書いてるのが見えた。
翌日、ワクワクしながら食堂に向かったジェイド君が帰ってきた時には干ししいたけのように萎れていた。
昨日とは違う料理に挑戦し始めたらしく、また暗黒物質が並んだんだそうだ。
｢まだまだ先は長そうだね｣
｢…ハンバーグは血に溺れたそぼろじゃありません｣
逆に気になるわ。
＊＊＊
リドル君もシルバー君もお疲れ様。
そして審査員の皆もお疲れ様。
イデア先輩、食堂来れて偉かったね^^*
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きない(プロフ) - 星猫さん» 弟さんいらっしゃるんですね^^すみません、アニメもあまり見ていないので最近のものはわからないです。 (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 34ae6966a1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 弟のｐｃは貸してくれました。知ってるアニメは何ですか？ (2021年2月25日 12時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きない | 作成日時：2021年2月4日 9時
