百九十六歩 ページ41
数時間後、帰って来たフロイド君はぐったりしておらず超笑顔で帰ってきた。
皆ギョッとしたよね。
厨房にいた誰もがカウンター越しに彼を盗み見て息を飲む。
ヒソヒソと話すのは、とうとう胃がぶっ壊れて脳みそやられたのでは？という物騒で失礼な心配。
アズール君に窘められながら、着替えに行くフロイド君をビビりながら見送る俺たち。
｢…何があったんだろ？｣
｢まさか、奇跡の一皿が完成した？｣
｢それ、は…どっちの意味で奇跡なんだ？｣
｢フロイド君が喜んでるんじゃわかんねぇな｣
｢ただの不味い美味いでないのは確かだな｣
先輩たち、心配してんのか何なのかわからんぞ。
胃薬用意しとけと言われて、戸棚から胃薬を出す。
戸棚を閉めたと同時に厨房のスタッフ用ドアが勢いよく開いて薬を落としかける。
何とか握り締めて安堵していると、ぬっと影がさした。
見上げればご機嫌なフロイド君がにたりと笑っている怖。
｢お、おかえり｣
｢ただいま♡｣
誰かがヒッと喉の奥で悲鳴を上げた。
わぁ、壁ドン…て言ったのは先輩ですか？後で殴る。
｢どうしたの、今日は体調良さそうね｣
｢うん、今日は絶好調〜｣
｢そっか〜じゃあ胃薬いらないね｣
｢いらなーい｣
｢美味かったんだ、良かったね｣
｢美味くはなかったけど食えた｣
｢何それ微妙｣
そう返すと、フロイド君は楽しそうに笑った。
いや、嬉しそうにか？
戸棚に薬を戻そうとする俺から薬を取ると代わりにしまってくれた。
｢俺ね、金魚ちゃんとクラゲちゃんに美味くなかったけど頑張って偉いねって頭撫でてあげたの｣
｢ほう｣
何時も俺らがやってるやつね。
よくわかんないけど褒める時に頭撫でるとタコウツボは喜ぶ。
そして俺にもしてくれる。
｢そしたら金魚ちゃん真っ赤になって〜クラゲちゃんはありがとうって｣
まじ面白かったーと笑う顔の無邪気さよ。
うん、嬉しかったんだな皆。
｢あとね、クラゲちゃんが｣
｢うん｣
｢俺たちは凄いって褒めてくれた♪｣
何時も美味しい料理を作って皆に提供している事も、モストロ･ラウンジを確りと切り盛りしている事も、全部凄いって褒めてくれたらしい。
｢金魚ちゃんも料理は大変だって…ウミガメ君とかウミヘビ君とか忙しいのに美味しい物作ってくれるの凄いって｣
｢そっか…俺たちと違って二人は善意だもんなぁ｣
｢ウミヘビ君はちょっと違くない？｣
｢まぁね、でもカリム君の為になってるのは確かでしょ？｣
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きない(プロフ) - 星猫さん» 弟さんいらっしゃるんですね^^すみません、アニメもあまり見ていないので最近のものはわからないです。 (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 34ae6966a1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 弟のｐｃは貸してくれました。知ってるアニメは何ですか？ (2021年2月25日 12時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きない | 作成日時：2021年2月4日 9時
