番外編:僕と貴方が歩み寄るなら。 ページ29
幼い頃、こんなに無邪気に笑った記憶など数える程しかない。
羨ましいと思う反面、少し妬ましい。
彼が何故この姿で存在しているのかは知らない。
こういうモノとして初めから造られたのか、それともオリジナルがあるのか…考えると深みに嵌るであろう思考を途中で止めた。
彼がキョロキョロと辺りを見回していたからだ。
フロイドは先程食べ物を取りに行ってしまった。
ジェイドは来客の接待でもしているのだろう。
｢Aさんはいないの？｣
｢Aさん…ですか？｣
そう言えばパーティーの準備の時に厨房に居るのを見たきり見ていない。
フロアの何処かに居るだろうが、さっと見回しても姿は確認出来なかった。
祝いの言葉一つもらっていないな、そういえば。
｢何処かに居るとは思いますよ｣
｢そっか…まだ渡してないみたいだね｣
ポツリと呟かれた言葉を聞き返そうとしたけれど、その前に彼からもう一つ袋を差し出された。
｢兄さんから、Aさんのプレゼントと一緒に使ってって｣
｢Aさんのプレゼント？｣
｢貰ったら一緒に開けてね｣
それだけ言って、彼は去っていってしまった。
途中でフロイドに見つかったのか、小さな悲鳴とフロイドの笑い声が聞こえた。
渡された袋に目を落とす。
Aさんのプレゼントと一緒に使え、とは。
中身が気になるけれど、それよりも。
｢何故、イデアさんが僕へのプレゼントの内容を知っているんだ？｣
相談をしたのだろう。
イデアさんは僕の部活の先輩だ、それはわかる。
ジェイドとフロイドではプレゼントの内容をバラし兼ねないと思ったのかもしれない。
だけど、何故だろう。
そこに頼るのか、と少し気分が悪くなる。
プレゼントなのだから本人に相談出来ないのは当然だけど、でも。
｢…マウント取られてるみたいじゃないか｣
｢何顔顰めてんの？腹でも痛い？｣
帰ってきたフロイドは右手に皿、左肩にナマコ…Aさんを担いでいた。
どんな登場の仕方だ。
｢俺のが腹痛いんですけど｣
｢…でしょうね｣
毎度の事ながら哀れでしかない。
フロイドよりは小さいが、それでも平均的な体躯の男だ。
担ぐにはお互いの負担が大きいだろう。
それでもフロイドはその運び方をする。
本当にナマコだと思っているのかもしれない。
そんな事を考えているうちに、フロイドはAさんを僕の隣に落とした。
三人がけのソファーとは言え、傍らには貰ったプレゼントが積まれておりそこそこ狭い。
大きな揺れが僕とプレゼントを揺らした。
番外編:僕と貴方が歩み寄るなら。→←番外編:俺と君はまだ遠いから。
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きない(プロフ) - 星猫さん» 弟さんいらっしゃるんですね^^すみません、アニメもあまり見ていないので最近のものはわからないです。 (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 34ae6966a1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 弟のｐｃは貸してくれました。知ってるアニメは何ですか？ (2021年2月25日 12時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きない | 作成日時：2021年2月4日 9時
