番外編:俺と君はまだ遠いから。 ページ27
誕生日当日まですんごく悩んだ。
本当にこれ渡して大丈夫か？って。
こんなもんしか作れなかった自分が情けなくて、アズール君に呆れられるんじゃないかとか。
でもイデア先輩とオルト君が手伝ってくれた物を無駄にしたくないから、何とか自分に折り合い付けて渡す準備をした。
購買で買った片手サイズの箱に綿を詰めて、その上にそっとマラカイトを置く。
蓋を閉める前にもう一度だけ指で触れると、少しだけ緑の粉が着いた。
｢…この色じゃないんよなぁ｣
深くて澄んだ藍色が欲しかった。
あの色を見て、どんな顔をするのか知りたかった。
オルト君に見せてもらったあの色に彼はどんな感想を抱くのか。
山で育った俺と海で育った彼ではどんな違いがあるんだろう。
彼の事を知りたかった。
｢…次回をお楽しみに、と言う事で｣
成長してみせましょう、えぇ。
気持ちとは裏腹の思いを口にする。
努力目標だけを掲げる虚しい言葉だ。
リボンを掛けて、紙袋に入れて。
何時ものナマコな俺で彼に会おう。
｢あ〜ぁ…また何の価値もないって言われんのかなあ…｣
…大丈夫、何時もの俺の言い方してますよ。
部屋を出たら、へらっと情けない顔をして。
｢あ、何処行ってたんだよ？早くこれ作るの手伝ってくれ！｣
｢ごめん今行く〜｣
厨房は戦場と化していた。
アズール君の為の料理となれば何時も以上に力が入る…否、何時も頑張ってますけどね？
でもほら、オーナーと為となるとまた別よ、気持ちがね。
あれこれと動き回って、パーティーを始める頃にはヘトヘトだった。
同級生と先輩と、もうちょっとここに居てもいいよね？って三人くらいなら居なくても平気じゃない？って。
ジェイド君来ませんよーに。
水煽りながらだらしなくスツールに沈んだ。
｢た、立ちたくない｣
｢腕がパンパン｣
｢生クリームとメレンゲは同時に作るもんじゃないね…｣
｢…ハンドミキサーもう一個買ってもらおう｣
プレゼントあげる側なのに要求する気の先輩ウケる。
｢…まぁ、間に合って良かったですわ｣
｢ほんそれ｣
｢…行くかぁ｣
よろよろと立ち上がる先輩について、俺達も立ち上がる。
ドアを開けると賑やかな声が大きくなる。
｢…では解散｣
｢解散て、いる場所一緒ですよ｣
｢お前と居るとリーチ兄弟に絡まれるから俺は逃げる！｣
｢ちょっと先輩置いてかないでください！｣
｢は？ ｣
二人は人混みに紛れていった、置いていくな。
悪態を吐いて、小さな袋を一瞥。
溜息吐いて、俺も歩き出した。
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きない(プロフ) - 星猫さん» 弟さんいらっしゃるんですね^^すみません、アニメもあまり見ていないので最近のものはわからないです。 (2021年2月26日 9時) (
レス) id: 34ae6966a1 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 弟のｐｃは貸してくれました。知ってるアニメは何ですか？ (2021年2月25日 12時) (レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きない | 作成日時：2021年2月4日 9時
