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百七十三歩 ページ45

「…まぁ、先輩には変わりないし、顔と声が良いのは揺るがぬ事実だし」
「そこが最重要なんですね」
「当たり前だろぉ…好きには変わらんのよなぁ」

だって今、キラキラの笑顔でヤッホーしてんのよ?
何あの楽しそうなの、君こそアイドルだよ。
もう幸せそうじゃん、供給過多だわ。

「担当、降りれなそうですね」
「…はぁ〜…顔と声が最高で優しくて強い人、他におらん?」
「トレイ先輩とか?」
「…あぁ、フロイド君に勝てる?」
「未知数ですね」

未知数かぁ…ジェイド君とはやり合えてたから可能性はあるかもしれない。
うーん、トレイ先輩なぁ…お兄ちゃんとしか思えん。

「…暫くはルク担続けるわ」
「草」

監督生に草って言われるとか、マジ草。





RSAwithNRCのアンコール全力ヤッホーは惜しみない喝采を受けて終わった。
ステージから降りてきたヴィル先輩の表情は自ら頭を打ち付けそうな程怖くて監督生は焦っていた。
足だけじゃなくて頭まで怪我されたら困る。
俺はと言えば、吹っ切れた様子の笑顔ボーテ状態のルーク先輩に泣いた。
ルーク先輩、笑顔美しい…けどコレジャナイ感何なん。
俺の心狭過ぎんか。

「よくわかんないけど元気出せよ、A」
「カリム君…」
「Aは笑ってるのが一番だぞ」

そっくりそのままお返しします。
よしよししてくれる優しいカリム君こそ笑顔が似合う。
泣き跡の残る彼の笑顔よ…思わず泣きついた。

「カリム君好きぃ…俺カリム担になるぅ〜ゔぇッ?!」
「やめろ」

秒でジャミル君に剥がされました。
何よ、やばい事はしないってば。

「爆速でルク担辞めようとしてるじゃないですか、Aさん」
「カリム君の尊みが深過ぎて」
「大体お前、ルーク先輩の事を顔と声が良いしか言わない癖に何がルーク先輩担当だよ」
「カリム君も顔と声がいい」
「そんなくだらない理由でカリムに付き纏うな」

物凄く鬱陶しい、と目が言ってる。
退いて、カリム君の笑顔が見えないじゃないか。
…すんませんでした、真顔やめてください。
多分これ以上やったら、瞳に映るは〜ってされるから黙ろ。
カリム君に近づくなって命令されちゃう。

「ジャミル君も顔と声がいい」
「知ってる」
「謙虚なジャミル君は元から居なかったんだと今思い出した」

渾身のゴマすりもコンマ一秒で冷めた、お互いに。
ジャミル君は言っても面白くないからもう言わない。
で、ステージ上で何があったのか聞いたら冷たい割にちゃんと教えてくれた。
ジャミル君、ツンデレか?

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作者名:きない | 作成日時:2021年1月13日 18時

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