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百五十八歩 ページ30

軽音部のパフォーマンスはそこそこに良い感じに盛り上がり、成功したと言えるだろう。
リリア先輩がデスボ我慢してくれたお陰と、ケイト先輩が完璧に歌い上げてくれたお陰だ。
俺?ミスはしなかったからいいんだよ。
何より楽しかった、それに尽きる。

ステージを下りて直ぐにリリア先輩はセベク君に大絶賛を受け、シルバー君にも良かったですと感想を頂いていた。
ケイト先輩も視察ついでという名目で覗きに来てくれたリドル君に褒められて笑顔だった。

「で、何故俺は」
「どうした?」
「アッ、イエ…ナンデモナイデス、マレウス様」
「様を付けるなと言ったはずだぞ」

むぅ、と拗ねた顔も美しいマレウス先輩と並んで歩いている。
リリア先輩がセベク君に喉が渇いたから飲み物を買ってこいとパシらせている隙によ。
マレウス先輩が俺に着いてこいと言うから。
何されるの俺…と思いながらついてきたんだがよ。

「シルバー君、何処に行くのこれ」
「コロシアムだ」
「コロシアム?何で?」
「VDCを観に、マレウス様が監督生に招待された」
「監督生ッ!」

アイツ、マレウス様といつの間に懇ろに…マジ陽キャパネェ。
動揺する俺など知る由もない二人はスタスタと歩くんだが。

「マレウス様、コロシアムは右です」
「わかっている」
「マレウス様、そちらは図書館です」
「知っている」
「マレウス様、」

三年生ですよね?
何で道を間違える?
ムッツリした顔の二人に俺氏ガクブルでござる。
不意にマレウス先輩が俺を見た。
それから、何故か高い木を見て、また俺を見る。
何だってばよ。

「シルバーもセベクのように煩いな」
「アイツと一緒にしないでください」
「つか、煩くもなるというか…」
「何か言ったか?」
「イエナニモ」
「言っただろう?何だ?」

近寄らないでください!
ヒィッと喉の奥で悲鳴を上げていると、間近に迫ったマレウス先輩がニヤリと笑う。
何ですか、何か企んでます?
そう思った矢先に、何でか俺は先輩に抱えられていた。

「マレウス様!」

シルバー君の声が下の方から聞こえた、と思ったらもう姿は見えず。
むしろ俺達か彼の前から消えた、んだと思う。

「…は?」

目の前は暗雲立ち込めるコロシアムだった。

「ふむ、場所はここで間違いないな?」
「そう、だと思います…けど、なんだよこれ」

静まり返ったコロシアムは、やけに湿っぽい不安を掻き立てる空気を漂わせていた。

「A?」
「ジャミル君?」

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作者名:きない | 作成日時:2021年1月13日 18時

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