百五十五歩 ページ27
｢破片とかが飛んで先輩が怪我するかもしれません｣
｢…むぅ、どうしても？｣
｢どうしても、絶対に、ダメです｣
｢…デスボもダメじゃとケイトに言われた｣
｢曲は何やるんですか？｣
拗ねないでください可愛いです。
何なのここの生徒は拗ねる時は可愛くなきゃいけないの？
溜息混じりに聞けば、すかさずケイト先輩が答えてくれた。
うん、どう頑張っても俺達の技術ではライトめなロックにしかならん。
｢先輩、デスボやりたいならそれに見合った曲を提案しましょう。今回の曲は合わないです、ギター破壊もないです｣
｢そうだよリリアちゃん、次はデスボが合う曲探そう！今回は時間ないからこの曲でやろう？｣
｢デスボもギター破壊も必要ないくらい上手いんですから、技術で勝負しましょう…先輩の弾き方にこの曲絶対合いますから｣
ギターもベースもドラムも出来るし、何かよく分からん民族楽器みたくのも華麗に操れる。
カリム君とリリア先輩はマジで凄い。
俺は楽器に関しては二人には敵わない。
歌は負けないように頑張ってるけど、ケイト先輩とカラオケに行って教えてもらったりな。
｢そうだ！一回やってみようよ！Aちゃんもやってくれる？｣
｢はい、ピアノでいいですか？｣
｢うーん、シンセのがいいかな？三人しか居ないし｣
｢了解です、歌はケイト先輩に任せても？｣
｢えー？Aちゃん歌わない？｣
｢ちゃんと覚えてないんで、ハモり程度ならいけますけど｣
｢じゃあハモリよろ〜あ、リリアちゃんハモリってデスボじゃないからね！｣
｢リリア先輩、ギターで行くんですか？ベースじゃなくていいんです？｣
｢ベースにしよう、ケイトがギター弾くんじゃろう？｣
｢あ、ギター譲ってくれる？よかったーベースちょっと自信ないから、ありがとリリアちゃん｣
仕方ないのう、とやっと笑ってくれたリリア先輩にほっと二人で胸を撫で下ろす。
それぞれ楽器の準備をしていると、徐々にリリア先輩の機嫌が直ってきたのが離れててもわかる。
｢よかったーデスボもギター破壊も阻止できたし、機嫌も良くなってくれた…Aちゃんのお陰だよ〜ありがと｣
｢いやいや…ケイト先輩が面白いから｣
｢え？｣
｢反応が面白くていたずらっ子魂に火が着いた的な｣
嘘ぉ…と驚愕した表情を見せるケイト先輩、分かってて乗ってた癖に。
白々しい通り越して優しいわ。
ハーツラビュルの人ってこんなに人に気を使わなきゃならんの？エース君見習え？
…式典服、いらんかったなぁ。
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作者名：きない | 作成日時：2021年1月13日 18時
