番外編:いずれ来る岐路なんて知らない。 ページ17
｢ははは、本当にお前は面白い｣
｢楽しそうで何よりです｣
｢良いだろう、持ってこい｣
｢俺が直接行って良いんですか？｣
｢勿論だ｣
えぇ…と思いながら周りを見れば、シルバー君がセベク君を押さえ込んでいた。
俺に構わず行け、と言う事か？
いや、君はむしろ俺を止める側でしょう？
リリア先輩を見ると楽しそうに笑いながら頷いた。
嘘じゃん、ダメじゃんよ…
味方ゼロとかどうなってんの、セベク君シルバー君を振り解けって。
願い虚しく、アズール君に背中殴られて仕方なくトレイを手に側に行くと、何でか椅子を勧められて座る…しかなかった。
｢どれにしますか？｣
｢オレンジはあるのか？｣
｢え、あ…ありますよ？｣
塩ソルベじゃないんかい。
｢これですね、どうぞ｣
｢あぁ、いただこう｣
めっちゃドキドキします。
長い指がアイスキャンディーの棒を摘む。
あの、毒味はいらないんですか？
チラッとリリア先輩を見るが全然気にした様子がない。
つかセベク君の口と鼻塞いでない？
彼は皮膚呼吸でもしてんの？
サクリ、と静かな咀嚼音。
見ればマレウス先輩がオレンジ色のアイスを齧っていた。
｢うん、買うものよりも美味いな｣
｢あ、良かった〜…って、食べた事あるんですか？｣
｢あぁ、アイスキャンディーという名前は知らなかったが｣
既出でしたよ…でも褒められたからセーフ、セーフよジェイド君(自己暗示)
｢オレンジジュースとは違うな｣
｢植物園のオレンジをもらったんです、美味しいですよね｣
緊張が溶けてへらっと笑うと、マレウス先輩も微笑んでくれた…顔が良いぃ…
顔を覆った指の隙間から見えたアズール君とイデア先輩の呆れ顔よ、ほっとけボドゲ部。
｢塩ソルベもどうですか？オクタのイチオシです｣
｢そうだな、いただこう｣
｢はい、とりますね｣
器にソルベをよそって渡す。
上品に食べてくれる先輩なんだけど、何か雰囲気が可愛いな。
｢マレウスよ、全部一人で食べるつもりか？｣
｢僕に食べて欲しいと言ったからな｣
｢いやお腹壊しますよ｣
｢僕はそんなにヤワじゃない｣
｢マレウス、いくらお前でもさすがにこの量は全部食えんじゃろう？それにワシも食ってみたいんじゃ、皆にも分けてはもらえんか？｣
｢ふむ…どうする？｣
え、俺に聞くの？
まぁ確かに食べて欲しいとは言ったが、持ってきた量を一人消費するのはどんなに食う人でも一週間はかかるだろう(当社比)。
それに、アズール君とジェイド君が言ってた。
宣伝して来いって(真顔で)
番外編:いずれ来る岐路なんて知らない。→←番外編:いずれ来る岐路なんて知らない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きない | 作成日時：2021年1月13日 18時
