イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ48)

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（３２６）褐色肌の青年ページ48

外が暗いのと行灯(あんどん)の淡い灯りもあってわかりにくいが、色白な聖羅とは相反する褐色肌。

黒に近い、濃い紫の髪。明るいオパールグリーンの瞳はカラーコンタクトのではなくおそらく地の色で、肌とのコントラストが美しい。

左目の下にはティアドロップの、首には何かしらの模様なのであろう、どちらも瞳の色より薄い刺青が彫られていて、和風な京の街とは真逆な洋風の赤い革ジャンパーを着ている。

気配に気付いたのか、聖羅は顔を上げると同時に青年の膝を靴裏でグッと押した。

無表情な分、その行動がどうもイラ立っているようにも見える。

「あたっ？！」

聖羅「遅(おっ)せェ。場所決めといていねーってなんなの」

「電話終わってからチームのヤツに声かけられたんだ。アイツわりと勘が働くからごまかすの必死でさ」

聖羅「じゃあ詫びに奢って。どうせこれから行くのアンタのチェーン店だろ」

「えー、お前サイフは？その和菓子の山、自分で買ったんだろ？」

聖羅「ガクセイのシューガクリョコーじゃねーんだ。そっちで一緒に食うつもり」

「おっ、なかなか気が利くじゃんか。俺の店、和菓子は仕入れてないから助かる」

聖羅「客用じゃねーよ。アンタと2人で食うの」

「ん？わかってるぞ？」

2人で食べるという解釈と、自分で買った物を店に出す解釈がすれ違った。

聖羅が今度は足の甲でふくらはぎ辺りを蹴ろうとしたが、青年はさせまいとばかりに彼女の肩を引き寄せて片足を上げた。

円堂「……！」

無性に、瞬間的に、驚きを隠せなかった。

聖羅が、他人に触られて拒絶しないなんて。

「なあ、どんな和菓子買ったんだよ？俺お前のチョイスかなり頼れんだけどさ」

そう言って近いまま袋に手を突っこもうとしたが、聖羅が持っているそれを遠ざける。

聖羅「慌ててんじゃねーよ。6年前からなんにも変わってねーな、アンタ」

表情こそ変わっていないが、伏せた目はとても居心地が良さそうに柔らかだ。

……あいつ、あんな表情もするんだ。

自分にも、どうしたらそんな表情(カオ)を向けて貰えるのかな、なんて思ってしまう。

聖羅「……ん」

聖羅が不意に振り返る。

聖羅「…………」

「どうした、セイラ？」

聖羅「なんか、犬さんがいた気がした」

「いたのか？」

聖羅「さっきまでは」

円堂「…………」

円堂は壁に背をぴったりくっつけて隠れる。

今一度覗いてみると、青年は聖羅にくっついたまま移動しようとしていた。