イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ12)

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（２９０）可能性ページ12

葉月「言っておくけど、聖羅ちゃんのコトが好きなのはキミと俺、円堂守以外に風丸君や鬼道君もだから。
人って、ほんのささいなきっかけ1つで好きになるコトだってあるんだよ。
必ずその「きっかけ」で意識が円堂守だけに向くとは限らない。
もしかしたら幼馴染だと語る鬼道君を選ぶかもしれない。……それか、」

話を続けそうで続けない、途中で区切って黙る葉月に俺は首を傾げた。

チトセ「……葉月？」

葉月「チトセ君、木野さんが呼んでるよ」

チトセ「あ……、本当だ。行ってくる」

チトセ君が足早にマネージャーの元へ駆けていく。

俺もしゃがんでいた体勢から立ち上がり──……

葉月「……それか、」

……最も聖羅ちゃん自身に限りなくそばで、永(なが)い時を共にしてきた『誰か』か…………。

葉月「……なんて、ね」

聖羅ちゃんの大事な青い毛の塊を指先でなぞって、俺は困ったように笑ってやった。

＊

聖羅「……夜日名」

夜日名「はい、何でしょう？」

聖羅「腹減った」

夜日名「……お腹が空いたのですか？えっと……」

聖羅「…………。リク」

リク「はい！何っすか、リーダー？」

聖羅「腹減った」

リク「白い恋人と生キャラメルがあるっすよ(北海道名物)」

聖羅「ベンチで食いながら試合見る」

リク「押忍！あぁでも直に座ったら霜でくっつくかもなので、タオル置くっすね！」

聖羅「んー」

夜日名「…………」

オレが色々していると、唖然とこっちを見る薫さんの視線に気付いた。

リク「どうしました？薫さん」

夜日名「いえ、皐月様は本当にわたくしよりお嬢様のことをわかっていらっしゃるのですね……。
専属執事でありながらお嬢様はほとんど何もお申し付けなさらないので」

リク「あぁ。オレ、小6の時からリーダーと一緒にいるようになったんですけど……。
あの人の場合、何でも自分でやるのが当たり前なんだと思いますよ」

夜日名「自分で……。先程の様子だと、聖羅様は貴方を頼っていたように見えますが……」

リク「いえ、あれはオレがやりたいからやってるだけですよ。
リーダーは人……というか『人間』に対しては、オレが見る限りでは一度も頼ったことないみたいですし。
だってさっき、リーダーはオレを呼んで「腹減った」しか言ってないですから」