イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ46)

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（３２４）夕暮れの京の街ページ46

日の出ていた時間帯とは打って変わり、藍色の空の下(もと)にある京都は、提灯(ちょうちん)や行灯(あんどん)の火にぼんやりと灯されていた。

東京と同じ都市の部類だが、なぜ作りが違えば日本もこう違う世界のように見えるのだろう。

聖羅「…………」

円堂「ん？どうした？」

聖羅「あれ」

蓮を抱いている無表情の空翼が、1つの建物を指差す。

和菓子や洋菓子が売られている、祇園の店だ。

買いに行きたいのか？と聞こうとする前に、すたすたと空翼は店内に足を踏み入れた。

時折すれ違う店員の声を無視して、進んでいく。

聖羅「…………」

ふと、通り過ぎそうになって足が急に止まった。

商品棚に並べられた和菓子。その中で、綺麗な彩りのそれを見て示す。

聖羅「なぁ。これなに」

円堂「え？えっとな……」

ど、どうしよう……わからない。

オレが困ったように視線を彷徨わせていると、空翼は「まぁいーけど、なんでも」と言って商品を手に取った。

……買うつもりなのか？何かわからないのに？

その後も空翼は適当に1種類ずつ箱入りや袋入りの和菓子を手に取って買い、持って来ていたエコバッグ3つ分になるほどの量を手にして店を出た。

円堂「なあ、稲妻町で駄菓子屋に行った時も思ったんだけどさ、お前どんだけ買うんだよ」

聖羅「アンタが2つ持って歩いてる分、腕力強化できるからいんじゃね」

そう言って空翼はいつ買ったのか、フーセンガムを噛みながら円堂の隣を歩いていた。

……やっぱ、こうして横から見ても空翼は綺麗だ。

円堂「……なぁ……空翼」

聖羅「なに」

フーセンガムを膨らませながら、何の気無しに返事する。

……触れたい。空翼の事、もっと知りたい。見てみたい。

そんな想いがどうしても強くなって口を開いたその時。

蓮『セイ、電話だ』

聖羅「ん、あー。サイレントにしてたから気付かなかった」

黒ジャージのポケットから逆さに出てきた携帯端末を手に取り、すいっと軽く真上に放って向きを正す。

普通の携帯電話とは別の、スマートフォンだ。

緑の丸い受話器型のアイコンに聖羅の細い親指が触れて、耳に押し当てられる。

聖羅「なに、なんか用。……そ、わかった」

少し目元が柔らかくなったように見えたのは、気のせいだろうか。

聖羅「あ、アンタの兄貴、今近くにいんの。いや、いたら相手すんの面倒だから。……、はいはい。じゃあ、今から行く」

空翼は耳から端末を離して通話を終わらせる。