イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ29)

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（３０７）その辺をぶらついているとページ29

聖羅「…………」

……昔の夢を見た。

蛍火と話していた今までとは違い、フットボールフロンティア後は一度も会ってない。

施設から孤児院に移る前だったから……、恐らく数年以上前の記憶だ。

ふと横を見ると、耳をぴょこんと立てた蓮が目を開ける。

蓮『おはよう、セイ』

聖羅「んー……」

蓮『具合はどうだ？』

聖羅「いつもと同じ。寝起きに【あの頭痛】」

床に投げ出したままのバッグに手を突っ込み、青いプラスチックのケースを掴む。

数回振ると青と白のカプセル剤が手のひらに転がって、ペットボトルの水で喉の奥に流し込んだ。

雅さんが新しく処方してくれた薬だから、恐らく時間差で治まってくれるだろう。

手を動かし、昨日やり損ねた蓮のメンテナンスをする。

データのバックアップを更新し終えて、空間ディスプレイを閉じた。

……珍しく早く起きたし、その辺でも出歩こうかと蓮を膝から下ろす。

蓮『出掛けるのか？』

聖羅「することねーから」

ここ最近ずっと同じ黒ジャージを着てるせいか、繊維が傷んでいる。

さすがに昨日着た物は着たくないと判断し、一応替えのつもりで持ってきた雷門のジャージを初めて身にまといながら部屋を出た。その後ろを蓮がついてくる。

昨日と同じ銀世界のゲレンデ付近を横切れば、円堂と風丸の掛け声。転んだのか叫び声が混じっていた。

最近「新技のコツが見えてきた」って円堂が同じことを言っていた気がする。

今日エイリア学園来るのに、朝からムダに体力使うとかどういう神経してんだ。

自分と違ってスタミナ考えないクセによくやる気になったものだと呆れたくなる。

足だけ引っ張んのはやめてほしい。

……新技といえば、自分のはシュート技が多い。

デスソード、ドリブルのシンソク、最近覚えたシュート技のナイトスラッシュ。

聖羅「……ま、なんとかなんだろ」

そう呟いてから、雪を踏む足を止める。

当の本人はバレてないと思ってやってるんだろうけど……、隠れ鬼ヘタクソか。内心鼻で笑えてくる。

故意に笑ったこともなければ生きてこの方笑った記憶もないが。

聖羅「いちいちコソコソしてんじゃねーよ。宇宙人」

真後ろの木にもたれて語りかける。

敢えて見ようとせずに目を閉じて。

本人が望んで姿を見てほしいというはずがないからだ。

敵で、倒す相手のキャプテンで、プライドくらいあるだろう。

わかってる、わかってるから敢えてそうしてんだ。

……レーゼ。