その9 ページ35
ずかずかと先を進む彼の後を着いていき、やって来たのはーー
「...私には場違い過ぎるわ」
最近雑誌によく掲載されている、話題の高級サロン。
というか何故この男はこんな店を知っている?さてはこいつ、女の扱いに相当慣れてやがるな!?疑いの目で見つめる私を、
「とりあえず行ってきなよ」
彼はそう言って無理矢理店の中に押し込み、「適当に時間潰してるから」と、何処かに行ってしまった。
「いらっしゃいませ」
普段行き慣れないお店というのは、どうやったって緊張する。
「本日は如何なさいますか?」
「え、えーっと...」
本音を言うと今すぐに逃げ出したいが、もう後には引けない。どうせならと、腹を括った。
「今日大事なデートなんで、とびっきり綺麗にしてください!!」
そう言うと店員はキラリと目を光らせ(た気がした)、「承知しました」とお辞儀をした。
.
綺麗にしてください!そう宣言してからは早かった。
「お客様にお似合いです!」
「えええ!無理!私こんなん着たことないよ!?」
「無理じゃないです!」
巷で流行りだという派手な色の着物をごり押しされたり、エステで肌の調子を整えたり、普段と違う化粧、そして髪のセットなど、あれよあれよという間に物事が進められた。
「ど、どう...?」
普段の私を知っている人に自分でも見慣れない姿を見せるというのは意外と恥ずかしいものである。
恐る恐る感想を尋ねる私を神威さんはまじまじと見つめ、口を開いた。
「馬子にも衣装...とは言い難いかな」
「何だそれ、誉めてんのか貶してんのかどっちだコラァ」
神威さんの一言にカチンときて思わず掴みかかりそうになったが堪えて、「ふん、別にいいよ!どうせ似合ってないのはわかってるもん!」と、そっぽを向いた。
改めて鏡で見てみると、先程の疲れはてた女ではなく、全身をこれでもかと着飾った女が居た。その女の顔は、心なしか不安そうな表情で映っている。
「...やっぱり似合ってない?」
途端に自信がなくなり、振り返る。気がつけばすぐ側に神威さんが立っていた。
「誉めてるよ。...綺麗だ」
「本当に?嘘じゃない?」
「...本当に」
「...そっか」
いつも皮肉ばかりの彼の口から、例えお世辞でも"綺麗だ"と言われ、少しだけ自信が出た。
「まあ何はともあれ、折角付き合ってやったんだから、失敗したとかは言わないでおくれよ」
「うん。...ありがとう神威さん」
「どういたしまして」
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ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時