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「ん〜？」
と、響く低音。冷蔵庫に買ってきたものをしまっている彼を、ソファの横を叩き座るように促す。
「何よ」
「あのね、私がなんで性別不詳にしてたか、長くなるんだけど聞いてほしいの」
「うん」
配信外の気の抜けた話し方につられるようにぽつりぽつりと話し始める。遡るのは、幼い頃から。
10個、年の離れた兄がいた。兄はとても勉強ができて、優しくて、大好きだった。家族4人、父は医者で母は元モデル。恵まれていたと思う。特に父は院長の息子で、お金に困ったことは一度もなかった。
おかしくなったのは、いつからだろう。私が見る兄はいつも勉強をしていた。いや、させられていた、のほうが正しいかもしれない。これは聞いた話しなのだが、父の兄夫婦には女の子しか産まれず、母が兄に跡を継がせるべく躍起になっていたのだとか。
母は兄の勉強に付きっきりだった。私はもともと予想外の子供らしく、母からそんなに好かれてはいなかった。何をするにも兄が母の1番だった。私は厄介者だったようで、習い事をたくさんさせられた。幼稚園が終わるとそのまま習い事、小学校が終わればそのまま習い事。
ダンス、体操、ピアノ、水泳が確か最初の4つだったと思う。しかし、母の誤算だったのだろう。私には運動の才があった。ある程度すると先生たちは大会に出させたがった。そうなると母は別の習い事を私にさせた。
ダンスだけずっと習えていたのは、父のおかげだ。父の知り合いが講師で、運動が好きなのにどんどん辞めさせられる私を見て口添えしてくれたらしい。
父はいつも忙しく、母は私と話したがらない。習い事のおかげで友達もいない。そうなると私は必然的に兄に甘えた。ダンスを見せたり、ただ話したり、大好きな歌を歌ってみせたり。勉強を中断していつも優しい笑顔で聞いてくれていた。上手といつも褒めてくれた。
しかし、大学受験に失敗したとき、大好きな兄がこの世からいなくなった。母から押し付けられる期待に耐えられなかったのかもしれない。
それから、母はおかしくなってしまった。私が兄の代わりをさせられるようになった。Aではなく、私が兄になった。習い事を全てやめさせられ、勉強を強いられた。勉強なんて好きではないけれど、兄のように振る舞わないと母が狂ったように暴れるのだ。
兄の部屋を与えられ、私の部屋は物置になった。男物の服を与えられた。一人称は俺になり、兄の名を名乗った。
私という存在が家庭から消えたのだ。
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まつりか(プロフ) - ひかりさん» ひえ、生きがいにしてくださっているなんてお世辞でも私には過分なお言葉です…！ありがとうございます！捻り出して続き書きます！ (2月18日 7時) (
レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 更新ありがとうございます🩷今の私の生きがいです！これからの展開予想でドキドキしちゃいますね！応援してます(^^) (2月17日 22時) (レス) id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます〜〜〜！自己満足で書いているものですが、そう言っていただけてとても嬉しいです！やっと続きを思いついたので、またぼちぼち更新していく予定です！ (2月15日 11時) (レス) id: b15522b6ae (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 最高です！優しい推しの姿想像してドキドキしちゃいました。続き楽しみにしています! (2月15日 0時) (レス) @page35 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - あーこっとさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！コメントまでしていただいてとても嬉しいです！感謝です！ (10月9日 12時) (レス) id: 117b51e2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつりか | 作成日時：2023年10月8日 9時
