閑話：初単独任務3 ページ34
真選組。
「こちらD班、異常ありません」
「こちらK班、異常ありません」
「よし、Aちゃん、今回の任務は
誰も助けに入らない。一人で買って帰ってくる、
どうしても助けが必要なら1度だけ連絡を
許可するから携帯を使ってくれ」
「ｺｸｺｸ」
結局1度は助けてくれるんだね、という
ツッコミは近くのゴミ箱に捨てた。
Aの肩には可愛らしい鞄。
いざ持ったところあまりの重さによろけた為、
急遽中身の再編成が行われ先ほど終わった所だ。
それからも行く前に腹ごしらえ、と
昼御飯を食べ、短いお昼寝をして
そろそろ出ないと帰りが怖い時間になっていた。
「なぁ近藤さん、やっぱりやめねぇか。
そもそもケーキなんざ持ち運びも難しい」
「いい加減諦めなせェ土方さん。
帰ってきたAと感動のハグ、そのまま部屋」
「テメェこそいい加減Aを離せや」
[皆がついてるZ]
「うわあぁ!？あ、あの、ついてるっていうのはいつも心にいるからねって意味で決してすぐそばにいて見守っているからねって意味じゃ」
「山崎」「切腹」
「すいませっんしたあぁぁ！！」
実をいうと、この下り、似たようなものも含めて
本日6回目だったりする。
とうとう娘が巣立っていく、と
もう泣き出している近藤、
3箱目をあけた瞳孔の開いた土方、
昼寝の続き、とくっついて離れない沖田、
手を滑らせた斎藤に、何故か自滅する山崎。
「っ、っ、！！」
いってきます！、と言う代わりに
堅く閉ざされている屯所の門を力の限り叩く。
当の本人は早いとこ済ませたくて仕方がない。
「いいなA、何かあったら首からかけてる
その笛を思いっきり吹きなせェ、腰の紐は
防犯ブザーでさァ、合わせて使いなァ」
「買うものはメモしたのか、地図は持ったか、
マヨネーズ…いらねぇ?遠慮すんな」
[無事に帰ってきたらお祝いだZ]
「気をつけて行ってきて下さいね」
漸く、漸く門が開かれる。
大人なら余裕だが、Aでは少し急がねば
日が暮れてしまう、もうそんな時間だった。
目的地までは裏路地を使わなければ
ほぼ１ルートしかないし、いつもより少ない
人通りと隠れている黒い服がそのルートを
なぞっているのは進まなくても分かってしまう。
「ｽﾞﾋﾞｯお妙ｻﾞﾝ!この近藤、娘を送りだじﾏｽ！」
最早まともに話せなくなったゴリラの横を
通りすぎ、Aは門の前で振り返り笑う。
「…♪！」
ふわりと、あどけない無垢な笑み。
花は風に吹かれて空へ舞った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梦夜深伽 | 作成日時：2018年3月2日 23時
