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笑って少女14 ページ20

万事屋。



『銀時、何処にいても見つけてあげる。
だから安心して、戦って勝ってきてね』


あの日、太陽のように笑ってみせた少女。


「……見つけてぇのは俺だっての、」

「え?銀さん何か言いました?」

「なんでもねぇよ、ちょっと出掛けてくらぁ」

「銀ちゃーん、外雨降ってるアル」

「あぁ?」


万事屋の主人、坂田銀時は
お茶を淹れていた眼鏡の少年、志村新八と
愛犬である定晴を撫でていた神楽に
顔を見ることもせずに返事をする。

神楽の言葉に顔をあげ、窓を見れば
確かに外には雨が降っていて、
なんとなく薄暗く、雨のしけった匂いもする。


「この間傘壊してから買ってないですよ」

「これぐらい、傘なんざなくてもいいさ、」


雨は急ぎ足にはさせても雨宿りをさせるほど
強く降っていない、それでも
町の人通りはいつもよりも少なかった。

普段通りに靴を履き、玄関に手をかける。


「…どこ行くネ」

「…まさか銀さん、僕らに内緒で」


俯いていた坂田は、振り返って薄く笑う。

その何処か悲しげな笑みに、
二人は怒気を潜ませ動揺した。

まるで何かを悟ったような、
受け入れたような、諦めたようなのその笑みは、
普段の坂田からはとても想像出来なかったから。


「桂さんの持ってきた依頼と、
何か関係があるんですね?」

「正確には、俺たちとだ。
銀時、遅いから迎えに来てやったぞ」

「銀ちゃん!私たちを置いて
自分だけでどうするつもりだったネ!」

「…リーダー達には話してなかったのか」

「…ったく、相変わらず面倒やりやがって」


額に手をあて、ため息を隠さない坂田は
既にやる気満々の新八と神楽を見た。

隣で顔をしかめる桂に愚痴を溢すも、
お前が悪い、と窘められて尚のこと腹が立つ。


「ゆっくり茶でも飲みたいが時間もない。
悪いが少し急ぎながら話すぞ」

「おいヅラ、時間がないって」

「どうやら奴らが動き始めたらしい、
って銀時、傘はないのか」

「要らねぇよんなもん」

「銀さん、笠は着けたらどうなんです」

「邪魔だからいー、の、」


『銀時、風邪引いて移されたら困るの。
遊ぶのに邪魔なら…そうだ、木と屋根の間に
縄を張ってシートを被せて天井を作ろう。
雨は防げるし…あぁでも、』


「『太陽が隠れてしまうね』」

「、ヅラ」

「そんな情けない顔はらしくない」

「…あぁ、そうだな」

「俺が代わりに。話終える頃には着く」


速度を落とし後方に並んだ桂。

坂田は水溜まりを飛び越え走った。

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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年3月2日 23時

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