笑って少女8 ページ14
真選組。
Aの奪還に成功し戻った頃。
ご飯を食べて早々に船を漕ぎ出したAを
横たえて、風邪をひかぬようにと
タオルケットをかけて一緒に寝転がる沖田。
「なにテメェはさりげなくサボろうとしてんだ」
「今日はもう十分やったじゃありやせんか、
取り逃がしちまいましたけど。
誰かさんのせいで。」
「テメェが朝の会議に遅刻したからだろぉが!」
「うるせぇですぜ土方さん、起きちまいまさァ」
「それは間違いなくテメェのせいだかんな」
煙草を咥え青筋を浮かべる土方は
沖田の首根っこを掴んで容赦なく引き剥がす。
「Aは一人で歩いてたって情報が入った、
居たのは地図の赤丸、これで何度目だ」
「前から数えるならもう驚きもありやせんぜ、
毎回どんだけ見張りをつけてもいなくなる」
まるで神隠しのように、
確かにそこにいたはずなのに、
振り返れば影も形もない。
時も場所も選ばず、
ニコニコと、穏やかな笑みに全て隠して
面白がるようにふらりと姿を消す。
大事な手がかりはきちんと残して。
「山崎の報告によると、春雨は麻薬の横流しを
嗅ぎ付けてケリつけにきてたらしい。
斬った中にそれっぽいのがいたんだとよ」
「それも毎度の事じゃねぇですかィ」
「誘拐…されに行った場所で犯罪やら
指名手配犯潜伏が毎度なんて冗談じゃねぇぜ」
「お陰で先回りが出来てるじゃねぇですかィ」
「…テメェ、それ本気で言ってんのか」
目にいれても痛くないとはこの事だ、と
Aを膝に乗せ抱えては思うほど、
間違いなくマヨネーズの次に、下手すれば
それ以上にAを可愛がっていた。
しかしそれは土方に限った話ではない。
マヨネーズはともかく、沖田は特に
Aを好いているし1番になつかれているのも
恐らく沖田だろう、と見ている人には分かる。
土方が1番でない理由は
昔にマヨネーズの着ぐるみを着せようとしたとか
してないとか、それはまた別の話。
「…絶対に無傷で帰ってくる、そう
約束したうえで条件飲んだのは俺らですぜィ、
あの状態な以上、俺らに出来ることはもう、」
俯き、膝の上で強く拳を握り締めた沖田。
土方は思う、
Aは賢すぎた、あの見た目でも。
だから_
「ろけっとぱぁーんち!」
「ッあっぶねぇな何しやがんだ総悟おぉ!」
「土方さんに励まされるなんざ
士道不覚悟で死ねるぜィ」
「じゃあ死ね、今すぐ死ねよ」
始まった取っ組み合いを
Aは薄目を開けて見てまた静かに眠りにつく。
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2018年3月2日 23時