迷宮解読10 ページ11
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何故私が呼ばれたのか。
警察よりも武装探偵社+その他が多いと云う不思議な集まりを見渡す。
国木田さんは仕事が有る筈だが、如何やら私を送り帰す為に残って呉れるらしい。
申し訳無い。
「乱歩」
中原さんは?
「客同士で面識が有る、被害者から一方的にだが」
探偵としての乱歩は淡々と説明をする。
私に考えろと、そう言っていると分かっているから真剣に頭を巡らせる。
「中也、こんなにも美しい女性を覚えていないのかぁい?」
「俺の位置からじゃあ見えねぇよ」
「貴方の容姿なら厭が応にも人目を引くでしょうね」
殺意なら兎も角、好意興味の類いには疎そうだ。
何気に失礼な事を考えていたのが伝わったのか眉を寄せられた。
「乱歩」
死因は?
「背中から一突き」
「そう」
凶器は店の包丁。
朝、店を開けに来て遺体を発見したと言う。
前日の夜、閉めた時に異常は無かったと複数の証言が取れている為に犯行時刻は其れ以降。
店が閉まっていた筈の夜間。
店の鍵は古いタイプで合鍵の複製は容易、針金ひとつでも開きそうだ。
平常時であればとうに店は開いている時間で、よって客らも訪れており_
「容疑者が揃ったのね」
第一発見者の店長。
前日に店長と店を閉めたアルバイトの男の子。
現店長の父が創業した当時から通う常連のお爺さん。
今日此処で待ち合わせをしていたと云う被害者の友人。
同じく待ち合わせをしていたと云う被害者の彼氏。
「最近思い悩んでいる感じでした」
そう語るのは被害者の友人と彼氏。
「彼奴は本当に殺されたんですか」
「と、言うと?」
「私たち前日に死にたいって連絡が有って」
「自ら命を絶ったと言いたいのかね」
警察が事情聴取するのを私は黙って聞いている。
ふと太宰さんと目が合った。
「どう思います」
「今の話?」
「ええ」
「そうね」
近頃は簡単にそう口にするし、もし本気でそう思っていた末の結果なら拍手のひとつでも贈るべきか、なんて考えるのは不謹慎だろう。
其の手のプロと言っても過言ではない太宰さんからの問い掛け、なら。
「自分の背中に包丁を突き刺せるなんて特技が有ったなら免許証に特記されているでしょうね」
「記載は無かったそうですよ」
「じゃあ殺人ね」
何者かに背中から一突き。
そもそも彼女自身がどうやって店に入ったのか。
ふむ。
「何か分かりましたか」
謎解きと推理は私の役目じゃない。
仕事も休暇中の身であるからして_
「いいえ全く」
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にゃーちゃん - 初コメ失礼します!超面白いです!思わず一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます! (2022年2月6日 2時) (レス) @page47 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2021年5月16日 19時