お星さま累計50記念SS ページ13
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［探偵社訪問］
見えてきた赤レンガの建物に、無意識のうちに首に手をやる。
未だ繋がっている。
連絡はしたが、三度目がないとも限らない。
「まぁプライベートだし」
マフィアとは休戦協定を結んでいると聞いたから、何も無ければ何も無いだろう。
ふと視線をあげると
「Aー！」
「乱歩？」
窓から身を乗り出し、大きく大きく腕を振る男。
「そんなに勢いをつけたら＿＿」
「＿あ」
「言わんこっちゃないっ！」
弾みをつけて外に飛び出してくる。
其のまま落ち＿
「＿＿間に合ったッ！」
落下地点に辿り着くのと、乱歩が降ってくるのはほぼ同時。
重力に引かれた成人男性を受け止め、られる筈もなく。
跳び上がり横から衝撃を与える形で力の向きを無理矢理変えて、二人して地面にごろごろと転がる。
乱歩が受け身を取れる訳がない。
結局下敷きになった私は、吸い損ねた酸素を求めて咳き込んだ。
「A、大丈夫？」
「……」
「A？」
乱歩を押し退けて、立ち上がる。
走り出すときに手離してしまった紙袋は潰れていた。
「大丈夫ですか！」
ばらばらと駆け付けてきた探偵社の社員たち。
口々に乱歩を心配してから、思い出したように私に向き直る。
「よく助けてくれた。ありがとう」
眼鏡を掛け直す国木田。
「ありがとうAちゃん」
心底ホッとした様子の敦くん。
不愉快だ。
「私、国木田と同い年だから」
「えー？！ てっきり僕と同い年ぐらいかと、思って、その」
「大体、助けて当たり前みたいに言うけど本当に死んでいたっておかしくなかったよ」
虎のように強靭な足腰もなければ、夜叉のように異能生命体がいるわけでもない。
「受け止められなければ下敷きになった私が死んでた」
「今の動き、異能力を使ったものではなかったのか」
「私が居なかったから使わなかったんだよね？」
街の方から、私の後ろから現れた太宰さんが微笑む。
「乱歩が身を乗り出して落ち、私が怒るところまで読んでいたんでしょう」
艶然とした笑みがまた腹立たしい。
「此れは何の真似ですか福沢さん」
まるで人助けを試すかのような。
「私はマフィアですよ」
乱歩に悪意がなかったのは分かっている。
「善意に付け込んで騙すなんて」
国木田が何かを喚くけど聞かない。
短剣を美丈夫の喉元にぴたりと這わせた。
「此れは、此の前の御返しです」
仏の顔も三度までと云う。
四度目は、此の刃が引かれるときでないと良いのだが。
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檸檬 - とっても面白いですね！つい一気読みしちゃいました。更新楽しみにしてます！ (2020年12月27日 23時) (
レス) id: b134bf3ec5 (このIDを非表示/違反報告)
青い夕日 - 好きです。頑張ってください！ (2020年7月2日 21時) (レス) id: e84367e7a0 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - コメント失礼します。 とっても素敵な作品ですね！！ 今、一気読みしてきました！ 更新頑張ってください！！！ (2020年6月20日 13時) (レス) id: b682e16ecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梦夜深伽 | 作成日時：2020年6月17日 15時
