・ 太宰side ページ23
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「……無い」
ポート・マフィア、異能特務課のデータベースを
駆使しても見付からない女の素性。
脳裏に浮かぶ胡散臭い笑み、
彼女なら自分から嬉々として消していそうだ。
思い出して欲しいと素直に言えば善いのに。
尚、此の件は後に予想が当たっていたと
知るのだが、今は関係の無い事。
話を戻そう。
結局、花束を手に帰社するも
与謝野女医は戻っておらず、
姿を見せたのは翌日の始業時間だった。
「帽子を被った黒犬に噛まれそうな
美人を見掛けてね、ちょいと躾てやったのさ」
非常に残念な事に思い当たる人物がいる。
更に、連続心中事件。
此の事件が鍵となる事など明白。
「と、云うわけなのだけど芥川君。
何か知らないかい?」
易々と侵入に成功し、
秘蔵の書庫を端から漁り、
中也の車に爆弾を仕掛けに行こうとして気付く。
中也の車がない。
どうやら任務も無く休暇中、
出掛けていても可笑しくはない、が___
「中原幹部は……」
目を泳がせ、あからさまに視線を逸らす。
無論、見逃す私では無い。
「彼女の事…知っているね?」
「
「へえ、私よりも慕っているのだね」
「其の様な事は__!」
嗚呼、使えない。
溜め息を大きめに吐いて、
これ見よがしに落胆した所に。
「余り苛めるでない、治よ」
「姐さん…」
「ほれ、黒蜥蜴が探しておったぞ。
此処は
艶やかな遊女の様な和服姿、結われた髪に
見慣れない簪を見付けて直ぐに分かってしまった。
「ほう…忘れておっても気が付くかえ」
「連続心中事件は
しかしマフィアは
彼女の好きにさせている、その腕を高く買って」
「名も知らぬと云うに、
えらく気に入っておる様じゃのぅ」
「『恋仲』に
「…ふふ」
斬り込むと、袖で口許を隠し笑われた。
簪を指先で撫でて、背を向け歩き出す。
「既に真相は見えておろう?
斯様に油を売っておる暇は無い筈じゃ」
探すふりであると、見透かされている。
失ってから気づくというが、
失ったことも失っている私がどうしたらいい。
振り返った姐さんが昔の私に向けたような
慈しむように笑みを浮かべる。
「彼女とは紛れもなく『恋仲』じゃった。
面倒になる位、らぶらぶであったよ」
ラッキーアイテム
名も知らぬ人からの微笑み
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6月の飴玉 - 様々な視点で描かれているので、とても新鮮でおもしろいです!! (2020年5月18日 12時) (レス) id: 913e8668f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梦夜深伽 | 作成日時:2019年7月9日 16時