恋空～切ナイ恋物語～ (ページ10)

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長かった夏休みも終わり、眠い目をこすりながら学校へ向かう。
教室に入ると同時に目に入ったのは机の上の一通の手紙。

【涼介へ知念より】

…知念からの手紙だ。伊野ちゃんと連絡をとりはじめてから知念に避けられてるから、手紙をもらうのは久しぶりだ。
教室中を見渡したが知念の姿はない。
不安な面持ちで手紙を開いた。

【話があるから四階の音楽室まで来て！】

手紙をぐしゃぐしゃに握りしめたまま教室を飛びだし、階段をかけ上がった。

音楽室のドアの前。何度も軽く深呼吸をする。
怒ってるんだろうな。嫌な思いだけが頭をよぎる。
そっとドアを開けると、椅子に座ってた知念が音に気付き、ゆっくりと振り返った。

「涼介、おはよー！」

知念のなんらかわりない笑顔に少し戸惑う。

「おはよぉ」

「呼び出してごめん！」

「ん…」

「涼介はさー、今恋してる？」

一瞬、本当に一瞬だけ浮かんだのは大ちゃんの顔。
会ったこともない…勝手に想像してる大ちゃんの顔。

「…いない、かなぁ」

俺の言葉をさえぎり、すかさず口を開く知念。

「僕は今、めっちゃ恋してるよ！」

…相手はきっとあの人。あの人しかいない。