恋空～切ナイ恋物語～ (ページ16)

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次の日の放課後、知念と龍太郎と帰ろうとしていた時だった。
知念が教室のドアを指さして言った。

「あれ、大ちゃんじゃない？」

知念が指差す方向には、まさに大ちゃんの姿。
俺はPHSをいじるそぶりをみせてさりげなく教室を出ようとした。しかし…

「山田、話そうぜ」

ドアに手を伸ばし、俺が帰れないように通せんぼしてる大ちゃん。

「どーぞどーぞ♪」

大ちゃんに彼女がいる事など何も知らない知念が背中を押す。

「わりぃ。じゃあ山田借りるわ！」

大ちゃんは知念と龍太郎にそう言うと、俺の返事を聞かずに手をぐいっと引っ張り、誰もいない教室へと連れていった。

「昨日のメール、無視しただろ？」

静かな教室に響く大ちゃんの不機嫌で低い声。

「寝てただけだし！」

「それならいいけど。ってかこうやって2人で話すの初めてじゃねぇ？」

安心したように微笑み、照れくさそうに頭をかく大ちゃん。

「…彼女怒らないかな？」

遠回しにちょっとイヤミっぽくいい放つ。
すると大ちゃんから笑顔が消え、目を細めてムッとしたようにみえた。

「俺、女いねーよ」

「昨日伊野ちゃんから聞いたよ？別に嘘つかなくてもよくね？」

「あ～…あいつから聞いたのか。まぁ一応いるけど…もう別れるつもりだから。」

別れるとか…なんか嘘っぽいよな。
彼女いるなら最初から言えばいいのに。
なんか大ちゃんの事分かんなくなってきちゃった…。

結局その日は、気まずく重い雰囲気のまま、ろくに会話もせず別れた。