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「!?」
なんだか少し触れたくなって、
この小動物の頭を軽く撫でた。
一度触れたらクセになる柔らかい髪。
シャンプーの心地良い香りが、
風に乗ってふわりと香る。
雪みたいな白を、ほんのり苺色に染めた頬に
手を滑らせた。
「ん…」
ピクッとして可愛い声を漏らすこいつは
本当に同じ男なのかと疑ってしまう。
…だめだ、やめよう。
手を離し、微笑む。
大ちゃんも笑顔を返してくれた。
「よし、じゃあ行こっか」
「うん!!」
そういって歩き出したけれど、
行き先が決まっていない。
「大ちゃんはどこ行きたいの?」
「どこでもいいよ?」
は?
行きたいところがあるから来たんじゃないのか?
「ひかがよく行くお店とかは?」
「よく行くっていうか…まあ、あるけど」
「俺もそこ行きたい!」
そうか。
俺のこと知りたいって言ってたことを思い出す。
自分の趣味を人に知られるのは
少し恥ずかしい。
「じゃあそのあとは大ちゃんのよく行くところ行こうな」
これでおあいこだろ?
「俺も、大ちゃんのこと詳しくないからさ」
「そうだね!でも俺、自分のこと話すより
ひかのこと聞きたい」
「なんでだよ」
「んー…なんでだろ」
「ふは、ばかじゃん」
「ひかに言われたくないんだけどー!」
咄嗟にばかにしてしまったが、
本当は少し嬉しかった。
人気者の大ちゃんが、俺を知ろうとしてくれてるなんて。
こんな日が、ずっと続けばいいと、
柄にもなく思ってしまった。
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作者名:しゃろむ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/PLAYLIST01/
作成日時:2019年8月1日 3時