2：両面宿儺 ページ3
都立呪術高等専門学校の敷地は、東京でも郊外の方にある山奥に位置している。
そのおかげ(皮肉)で、最寄り駅が遠いという字面上での矛盾が生まれていた。
ようやく高専の敷地に戻ってきて、Aは改めて安堵のため息を溢した。
今回の任務も無事生還。今日も1日頑張った。
──そんな時、Aのポケットがブルブルと振動を始めた。
勿論ポケットにバイブレーション機能を取り付けたわけではない。そんな前衛的なスカート履きたくない。
ポケットの中のスマホに着信が来ているのだ。
「あっ、マナーモードのままだった」
電車に乗る前にスマホの設定を変えていた事を思い出しつつ、Aはポケットからスマホを取り出して手慣れた指さばきでパスワードを解除した。
着信画面に表示されていた名前は……。
「え、五条先生？」
五条から電話が来ることは、特段珍しいわけではない。何ならやたら頻繁に来るので、周囲からは着信拒否を勧められている。流石にそれはしない。
だがこんな時間に五条から電話が来るとは、正直嫌な予感しかしない。
(うわあ……これ出ても出なくても地獄な気がする……)
Aは通話を終えた後の未来の自分にエールを送りながら、意を決して通話ボタンを押した。
《あ、A？ 元気してる？》
「おかげさまで元気してます。どうしたんですか？」
《恵が特級呪物回収の任務に行ってることは知ってるでしょ？》
「あ〜、確かに言ってた！」
《何か特級呪物無くなったみたいだから、恵と一緒に
「…………えっ？」
五条のノリが軽すぎて、いまいちよく分からなかった。
自分の耳がおかしくなければ、「特級呪物無くなったから回収してこい」と言われたような気がする。
「『特級呪物無くなったから恵と一緒に回収してきて』って聞こえたんですけど……」
《うん、それで合ってるよ》
「…………」
Aはつい大きく空を仰いだ。
初夏の星空が綺麗だ……じゃなくて。
「……
《僕はいつでも
Aは、つい深いため息をついて額を抑えた。
《特級呪物“両面宿儺の指”……それが無くなったとなると結構危ないと思うから、転ばぬ先の杖で実力のあるAを向かわせようと思ったワケ》
呪術師最強である五条に実力があると言われて悪い気はしない。
Aの頬がつい緩んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月9日 2時) (
レス) @page23 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年3月12日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 夢花さん» ありがとー！！！ 全然大丈夫よ！姫はHEROになれるかの方も更新頑張るね！(*^▽^*) (2021年9月10日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - ヒメちゃん新作おめでとう!!!言うの遅くなってごめんよ_(._.)_ (2021年9月10日 21時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - まくすうぇるさん» 話の流れは原作通りにするつもりなのですが、救済についてはまだちょっと考えています。やるかもしれません。地獄が軽減される(？)かもしれません。悩ましいです……！ (2021年9月1日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
