16:狭間 ページ17
「ッ!?」
「!!」
「……あ?」
張本人である筈の宿儺さえも、訝しむような声を出していた。
つまり、今の行動は宿儺の意思に反するものであるということ。即ち──。
「俺の体で何Aに手ぇ出そうとしてんだよ」
他の誰のものでもない、
落ち着いた声色ではあるものの、その声からはふつふつとした静かな怒りを容易に感じ取ることが出来る。
「オマエ……何で動ける?」
「はぁ? 俺の体なんだけど」
宿儺の問いを、虎杖はその一言で流した。
(えっ……? 今喋ってるのは悠仁、だよね? でも、宿儺……えっ?)
まさしく混乱の真っ只中にいるA。
こんな状況、どれだけ長く呪術師をやっていようがまずお目にかかれない。
「──動くな」
伏黒が、会話の流れを一気にぶった切る。
臨戦態勢となった彼の足元からは、ズズズ……と闇のように黒い影が立ち上っていた。
「オマエはもう人間じゃない」
「……は?」
虎杖の口から、思わず間の抜けた声が漏れ出る。
それに構わず、伏黒は続けた。
「呪術規定に基づき、虎杖悠仁・オマエを──“呪い”として
Aは自分でも、意図せず自らの目が大きく見開かれたことに気付いていた。
.
「おはよう」
そう声をかけられて、目が覚める。
虎杖は、パチパチと数回瞬きをしてからゆっくり顔を上げた。
──ここはどこだろう。全く見当がつかない。
ここまでピンと来ない場所があるものなのだろうか。
しかし、壁中に見慣れない紋様の描かれたお札が貼られた部屋なんて、心当たりのある方が少数派だろう。
「今の君は
目の前で自分にそう問いかけてくる、白い髪に黒い目隠しをつけた男に、虎杖は見覚えがあった。
しかし肝心なところが思い出せない。
「…………アンタ確か……」
靄がかった記憶を呼び起こそうと、虎杖が目を細めて男の顔を見つめる。
「五条悟。呪術高専で一年を担任してる」
男──五条が、簡潔な自己紹介をした。
「呪術……」
そのワードを聞いて、虎杖は一気に醒めた。
「A……っ!! 先輩! 伏黒は!?」
思わず身を乗り出す。しかし、ギチィ……という鈍い音と共に、それは阻止されてしまった。
「あ?」
腕が動かない……いや、腕が何かに椅子と縛り付けられている。
反射的に虎杖が後ろを振り返ると、なるほど確かに自らの腕が、壁に貼られているものと同じお札の貼られた縄で後ろ手に縛り付けられていた。
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YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月9日 2時) (レス) @page23 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年3月12日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 夢花さん» ありがとー!!! 全然大丈夫よ!姫はHEROになれるかの方も更新頑張るね!(*^▽^*) (2021年9月10日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - ヒメちゃん新作おめでとう!!!言うの遅くなってごめんよ_(._.)_ (2021年9月10日 21時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - まくすうぇるさん» 話の流れは原作通りにするつもりなのですが、救済についてはまだちょっと考えています。やるかもしれません。地獄が軽減される(?)かもしれません。悩ましいです……! (2021年9月1日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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