14:万が一 ページ15
そんな時虎杖が、今までの会話の流れを一気に寸断する質問をした。
「──Aは?」
伏黒が口を開こうとした瞬間、すぐ近くで鈍い音が響いた。
反射的に2人が物音の方──呪霊の方を見る。
思った通りと言うべきか、Aが虎杖と同じ登場方法をしていた。
違う点と言えば、虎杖が使ったのが拳ということに対して、Aは膝……ということぐらいだ。
「
「A!!」
虎杖・伏黒・呪霊が勢揃いしている渡り廊下の天井に着地するなり、Aは膝を抱えながら悶えた。
「A、怪我は?」
「全然大丈夫。ありがと」
Aの返答に、短い安堵の溜息を漏らしてから、伏黒は虎杖の方を向いた。
「今あの二人抱えて逃げられんのはオマエだけだ。さっさとしろ。このままだと全員死ぬぞ……呪力のねえオマエがいても意味ねーんだよ」
「…………」
不服そうな顔を隠そうともしないまま、虎杖が倒れていた身体を起こす。
「……なあ、なんで呪いはあの指狙ってんだ?」
「喰って、より強い呪力を得るためだ」
「特級呪物ともなれば、秘めてる呪力は相当だしね」
伏黒の答えにAがちょっとした補足をする。
それを聞いて閃いたのか、虎杖は少々弾んだ声をだ出した。
「なんだ……あるじゃん、全員助かる方法!」
「……あ?」
「悠仁、何言って……」
ついポカーンとした顔をしてしまう伏黒とAを横目に、虎杖は何やらゴソゴソしだした。
「俺にジュリョクがあればいいんだろ?」
虎杖が取り出したのは──特級呪物・両面宿儺の指だった。
躊躇う素振りすら見せず、当然かのように……虎杖は大きく口を開けて、それをその口に運んだ。
「なっ」
「……っ!? 悠仁、ダメ!!」
「馬鹿!! やめろ!!」
目の色を変えた二人の静止にも構わず、虎杖はゴクンと両面宿儺の指を飲み込んでしまった。
「……嘘でしょ……!?」
Aが思わず口を押さえる。
呪物なんて、術師・非術師問わず人間が飲み込んでいいものじゃない。
それも特級となれば、人体に及ぼす影響は測りきれないものとなってしまうだろう。
(特級呪物だぞ!? 猛毒だ!! 確実に死ぬ!!)
「悠仁! 吐き出して吐き出して! 早く!!」
(だが、万が一……万が一……!!)
狙っていた呪物を飲み込まれて頭に来たのか、呪霊は低い唸り声を上げながら虎杖に迫った。
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YUKIKA(プロフ) - 続き待ってます (2022年12月9日 2時) (レス) @page23 id: 342256db66 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年3月12日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 夢花さん» ありがとー!!! 全然大丈夫よ!姫はHEROになれるかの方も更新頑張るね!(*^▽^*) (2021年9月10日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - ヒメちゃん新作おめでとう!!!言うの遅くなってごめんよ_(._.)_ (2021年9月10日 21時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - まくすうぇるさん» 話の流れは原作通りにするつもりなのですが、救済についてはまだちょっと考えています。やるかもしれません。地獄が軽減される(?)かもしれません。悩ましいです……! (2021年9月1日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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