127 ページ33
パン
内門に向かって壁伝いに飛んでいるとエルヴィンの方角から突如、信煙弾が上がった。
「…作戦中止！？＿＿ハンジ！」
「あぁ！総員壁の上に散らばって待機だ！！」
「了解！！」
飛んでいた兵士達が進軍を止め壁上に止まった。
敵を見つけた？
でもまだ騒ぎになっていないのなら…まだ人間の状態。
「リヴァイ、ハンジ。」
壁上で待機している２人に近寄った。
「この状況…Aはどう思う？」
内門を眺めながらハンジが言った。
「手がかりがあった…って事じゃないかな。」
「私もそう思う。…リヴァイ。エルヴィンの方へ向かってくれるかい？Aは私とここに残ってエレンを守る。」
「了解だ。」
リヴァイがエルヴィンの方へ飛んで行ったのを見送り内門の上で兵士達が行ったり来たりしているのを眺めていると急に兵士が壁伝いにゆっくり降り始めた。
「…へぇ。面白いねーハンジ。“壁の中”か。」
「壁の中は盲点だね。」
「そうね。…敵が我々の内部を知りすぎていて我々が敵の事を知らなすぎるのが今一番不利な点。もう想定していた敵襲も全て外れている。今のうちに相手の手を考えよう。」
「そうだね。まず…さっきAが言った通り敵が私達の弱点を知っている。」
「そう。武器は立体機動装置とブレードのみ。何か作戦をする為ここに工作をする時間も無かったから立体機動装置さえ潰せば私達は戦う手段を無くす。」
「立体機動装置の弱点ね…ガス・ブレードに上限がある事。近距離でしか戦えない。平地では立体機動が出来ない…かな。ガス・ブレードに関しては補給班が居る。近距離のみの戦闘は巨人側も同じ。あと平地はウォール・マリア内部だけだよね。シガンシナ区は建物がある。けど…ウォール・マリア内部はさっき通ってきたけど巨人は一匹も居なかったよ。」
「そう。巨人は居なかった…。」
巨人は居なかった。
なぜそれが分かるか。
巨人は大きいから馬で駆けても目視できる。
じゃあ…もし人間の状態でいたら見つけられた？
調査兵団はエレンの居場所が敵から分からないように固まって行動している。
死角なんてたくさんある。
通ってきた道に“まだ人間の”巨人が隠れていたら
壁の中に本当に巨人がいたら
退路が断たれ
挟まれる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 28人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：じゅく子 | 作成日時：2019年11月21日 20時
