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「まだ…着けていてくれたのか。」
「…願掛けだよ。」
「願掛け？」
不思議そうな顔でエルヴィンが私を見上げた。
「これは私とエルヴィンが戦う時の勝った方の景品。なら…味方同士なら使わないでしょ？戦う時まで私達は生きていないといけない。死なないようにって…ちんけなお願い。」
「…。」
「必ず勝てる策なんて絶対に無い…最後はどうしても神頼み。」
グッと唇を噛んだ。
「これが…指輪が私にとってのお守りなの。」
「A…。」
何かを考える様子だったが急に起き上がったエルヴィンにギュッと抱きすくめられた。
「うん？」
「最後に私のワガママを聞いてくれるか？」
「うん。」
「全てが終わるまで待ってくれないか。」
「全て…？」
「敵に打ち勝ち世界の記憶を知るまで…私が果たさなければならない使命が。」
そんなにそれが大事なのか。
今ここで私を抱くことよりも。
それの為に一生を懸けている彼に簡単に私の口から消された記憶を話す勇気が消えた。
じゃあ…全てが終わり生きて壁内に帰ってくることが出来たら…本当のことを話そう。
エルヴィンとの関係を進めるのなら“嘘”はもう無しにする。
「分かった…。」
「…すまない。」
本当に申し訳なさそうな顔をしながら胸元に唇を這わせ一か所だけ赤い跡を付けて優しくボタンを付けなおしてくれた。
「じゃあ一緒に寝よ。」
「あぁ。」
寝転がるとすぐに正面から抱き寄せられ胸板に顔を寄せた。
もう嗅ぎなれた…って言ったら変態だけどエルヴィンの安心する香りが鼻孔をくすぐった。
あぁ…調査兵団の隊服どこにしまったかな…。
優しく抱かれた腕の中でスヤスヤと眠りに落ちた。
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作者名：じゅく子 | 作成日時：2019年11月21日 20時
