嘘 -3- 【エルヴィン・スミス】 (ページ29)

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ムーっとしながらエルヴィンを見上げた。

「A…知っていると思うが行くのなら明日の日没トロスト区壁上。…考え直すなら今のうちだぞ。」
「…。」

背中を向け立ち去ろうとしたエルヴィンの腕を咄嗟に掴んだ。
そのままどこかへ行ってしまいそうで怖い。

「行かないで…一緒に居て。」
「A…。」

軽く引っ張ったら

簡単に

彼は

堕ちた

ドサッと倒れ込み私の上に覆いかぶさった。
頭の横に片肘をつき顔が近い。

「A…。」
「…。」
「どうするつもりだ？」
「…その体勢…大変そう。」
「…この状況で余裕だな。」
「腕痛めちゃうから…ダメ。」

肩を強く押しエルヴィンの体勢が崩れた所を転がして私が上に乗った。

両肘をついて見下ろすと下では余裕の笑み。

「んふふ…さすがのエルヴィンでも女に襲われたことは無いでしょ？」
「無いな。」
「でしょー？私も男を襲ったこと無いー。」

ご機嫌よろしくニコニコしながら私からおでこをコツンとぶつけキスをした。

多少というか…かなり恥ずかしいけど酒のお陰で何とか勢いで突っ込んでいる。
酒が無かったら絶対無理。

あっ…マスター。ありがとう。

夢中でキスをしながらときどき唇を離して「んふ」って笑うとエルヴィンも優しく笑い返してくれる。

それが甘くてまた重ねる…。

それを何回も繰り返した。

あぁ…幸せ。

「ん…エルヴィン…逃げるなら今のうちだよ…。」
「…。」

唇を離して見下ろすとエルヴィンにじっと見つめられ

片腕でグッと頭を押され深く唇が重なった。

あなたの回答はそれね。じゃあ…遠慮なく。

唇を離してエルヴィンのボタンをはずそうと下を向くと目の前に腕が通り私のボタンを掴んだ。

スルスルと片手で器用に外されたが３つ目を外された時に思い出した。
胸元がはだけたのと同時に首からエルヴィンから貰った指輪が通してあるネックレスが重力に従ってシャラ…と落ちた。

いつもは服の中に隠していてずっと着けていたせいか着けていた事すら忘れていた。

それを見たエルヴィンの手がピタッっと止まった。