嘘 -3- 【エルヴィン・スミス】 (ページ14)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:40,574 hit

108 ページ14

周りにバレないようにつま先立ちをしながらエルヴィンの頭をグッと引き寄せギュッと唇を重ねた。

待っていましたと言わんばかりに腰を抱かれ体が密着する。

ちくしょう…。
認めたくないけどやっぱりこの人とのキスは好き。
ずっとしていたくなる。

「…んっ…。」

周囲に気づかれないよう静かにしているがどうしても絡めている舌の音と吐息が抑えられない。

頭がポーっとして膝から崩れ落ちそうで思わずエルヴィンのシャツをギュッと掴んだ。

幸いにもガタガタを物音はうるさいし、みんな喋りながら作業をしているから聞こえてはいないだろうけどドキドキが止まらない。

バレたらこれの言い訳は無理だ。
現行犯だ。
現行犯でエルヴィンが捕まる。

…それも良いか。

あぁ…本当に無駄な事を考えないとその気になる。

でもその先は怖くて出来ない。
今のままがちょうど良い。

気づき始めている自分の気持ちも無かった事にすれば。

ちゅ…と小さく音を響かせ唇を離し見上げると勝ち誇っている顔。

「ｸｯｿ…。」
「何か言ったかい？」
「何も！」
「A―！」

もうハンジの声がそこまで近づいている。

「お代で腕はもう一本要らないからね。」
「分かった。」

「いたー！もう返事してよ！」
「ごめん。エルヴィンと本に夢中になってて…。」
「本当に広くて分からないから助けてよ！武器庫はどこ！？あの中央憲兵が装備していた立体機動装置が見たい！」
「それなら別棟。」
「えぇ！？また歩くの！？」
「ハンジ分隊長が同じところをグルグル回りすぎているせいですよ…。」
「モブリットも大変ね…早死にしないでよ…。」
「はい…。」
「じゃあ行こう！A！モブリット！行くよ！」
「はいはい…。」
「はい…。」

死んだような顔をしているモブリットと一緒にダラダラと部屋を出た。