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「潤たちは、本当に智のことを知ろうとしなかったんだね。」
「なんで…」
扉を開けて入ってきたのは、仕事で世界を飛び回っているはずの父さんだった。
父さんは真っ直ぐベッドのほうへ行くと、眠る智を大きな手でなでた。
「…智ごめんな。辛かったよな。」
父さんの言葉で、はっとした。
どうして智は運ばれてきたのだろう?と。
俺のはてなが見えたのか、昌行くんは俺に、いや俺たち兄弟に向かって言った。
「…『持病』の喘息が悪化して、呼吸困難になったんだよ」
…持病?
どういうこと、と俺たち兄弟は顔を見合わせた。
かまわず昌行くんは続ける。
「最初は、中発作くらいだったんだけど途中で酷く咳き込みはじめて、痰が絡んじゃったみたいでね。ここに着いたときには呼吸困難でチアノーゼも出てた。」
「ちょ、ちょっと待ってください」
続けようとする昌行くんを止めたのは俺。
まったく状況が読み込めないし、第一智が喘息もちだっただなんて俺たちは知らない。
「智が言うなって、頑なに拒んでたから。…言っちゃ駄目だと思って…」
准一くんがうつむく。続いたのは父さんだった。
「智は小児喘息ってやつでね。でも、そこまで酷いものではなかったんだ。
ただ…何を思ったかはわからないけど、智は絶対に兄ちゃん達には言うなって言ってたんだよ。俺も参ったけど…普段は何も言わない子でしょ、智って。
だから、なにかあったときは必ず俺に…間に合わなかったら兄ちゃん達に伝えるっていう条件で最初からは言わないようにしてたんだ。
そしたら今日、こんなことになって…。
これは俺に責任がある。すまなかった。」
頭を下げた父さんに、頭をあげてください、と昌行さんが制した。
「今智くんと暮らしているのは僕たちです。すぐにでも気付くべきでした。すみませんでした。
…智くん、本当に稽古頑張ってるんですよ。
智くんをスカウトして正解でした。」
俺たちはあっけにとられて息もできなかった。
智をスカウトして正解だった?
あの、ぐうたらした子を?
…昌行くんは、智を守るためにこんなことを言ってくれているんだろ。
「あの、智が何かご迷惑をおかけしたらすぐにでも追い出してくれてかまわないので」
一種の皮肉もあった。
なんで智が、と。
すると昌行くんはすっと目を細め、俺の瞳をじっと見て言った。
「僕がただ怠けているだけの奴をスカウトするとでも思ってるのか?」
昌行くんの低い声に背筋が震えた。
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食パン - 初めまして。特殊舞賀が好きで読ませて頂いてました。更新されていて嬉しかったです。ぜひ完結目指して頑張って下さい。続き楽しみにしてます！ (2019年7月15日 0時) (
レス) id: fb5c8af59e (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - 続き読みたいです (2017年12月28日 18時) (レス) id: 9da5bd590f (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - お久しぶりです！続きが更新されていてとても嬉しいです！これからも頑張って下さい(´▽｀) (2017年12月11日 2時) (レス) id: 4e40d0702b (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - 続き読みたいです (2017年12月3日 18時) (レス) id: 9da5bd590f (このIDを非表示/違反報告)
m1yamurakun1230(プロフ) - 特殊舞賀最高です！続きが読みたい！ (2017年9月12日 12時) (レス) id: f540f0bf5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：( ＾∀＾) | 作成日時：2017年5月5日 18時
