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わたしを抱きしめたまま、背中をポン、ポン、とゆっくり叩いて。
「苦しみを全面に出すのは悪いことなんかじゃないよ。苦しいのに隠して強がる方が、よっぽど弱くて罪なんじゃないか?」
と言う篤志。
ポンポンする温かい手は、まるで催眠術をかけるかのようにわたしの心を溶かしていく。
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─────・・・ さみしい
優樹がいなくて、さみしい。
どこにいても、何をしていても、この世にひとりぼっちな気がするの。
だから人一倍頑張らなきゃ、神様が怒ってまたわたしから何かを奪うんじゃないか
そう思うと どんどん息が出来なくなって
苦しくなるよ ・・・─────
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篤志の肩に顔を埋めて、泣きながら話すわたし。
うん、うんと頷く篤志の声も少し震えていて。
なんて繊細で優しい人なんだろう、と思った。
それから・・・
会社で人間関係に悩んでいることと、ヒロ兄に怒られてばかりいることも話した。
それを聞いた篤志は「みんなお前のことが羨ましいんだよ」と笑ったの。
みんなは仕事をしながら、他の欲を持つ。
自慢の恋人を持ちたい
たくさんお金がほしい
いい服を来て遊んで美味しいものを食べたい
でもわたしはよくも悪くもそういう欲がなかったから、仕事に打ち込むしかなかった。
「どんどん力をつけるお前のことが羨ましかっただけなんだよ」
「ヒロ兄は?なんでわたしに厳しいの?」
「わからない?」
「わかんないよ」
「一言で言えば・・・守るため、だろうな」
わたしのことが可愛いくて心配で仕方がないというヒロ兄。
初めはいつもいつも気にかけてたけど、「なんであの子だけ優遇されるのか」というわたしに対しての陰口を聞いたらしい。
これはまずいと思ったヒロ兄は、わたしの仕事ぶりに期待もこめて、あえて厳しくすることに。
「誰よりもお前を認めてるのは、HIROさんだと思うよ」
その話を聞いたわたしは、見捨てられそうになっていたわけじゃないことにホッとしつつ。
自分がなんだかすごく子どもに思えて恥ずかしくなり・・・また泣いた。
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「────・・・篤志くん」
「ん?」
「うどん、食べたい。作って」
そう言ったわたしの頭を嬉しそうに撫でた篤志が、寝室を出たところで
────・・・ ピンポーン
インターホンがなった。
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Me(プロフ) - 紫 Yukariさん» そうなんですね!!篤志との関係、個人的に好きだったので何か寂しいですね(T_T)これからも更新楽しみにしてます!続編嬉しいです! (2016年5月20日 21時) (レス) id: 6de1d6cb5d (このIDを非表示/違反報告)
紫 Yukari(プロフ) - Meさん» コメントありがとうございます♪楽しみにしてくださって嬉しい!(●´艸`) その通り、篤志との関係は終わりました!わかりにくくて申し訳ない(>_<) (2016年5月20日 7時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
Me(プロフ) - もー( ; ; )次が楽しみです( ; ; )あの…主人公ちゃんと篤志は終わった(?)ってことですかね??すいません…いきなりこんな事を聞いてしまって( ; ; ) (2016年5月19日 21時) (レス) id: 6de1d6cb5d (このIDを非表示/違反報告)
Me(プロフ) - 紫 Yukariさん» これからも読みに来ますね!笑 はい!宜しくお願いします! (2016年5月18日 19時) (レス) id: 6de1d6cb5d (このIDを非表示/違反報告)
紫 Yukari(プロフ) - めんめんまさん» めんめんまさん、ありがとうございます!はじめて感想を貰ってめちゃめちゃ嬉しいです・・・!初心者なので、読みにくかったりするかもしれませんが頑張りますね☆これからもよろしくお願いします(^^)/ (2016年5月18日 16時) (レス) id: 2484694bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫 Yukari | 作成日時:2016年5月11日 16時