過去編：2 ページ41
＿
即死だった。
·
兄の乗る車椅子を押して、
最後の散歩をしていただけだった。
気付けなかった、気付かなかった。
上から落ちてくる鉄棒の存在に。
兄の真上まで垂直に落下してきた鉄棒は
なぜだかとてもゆっくりに見えた。
·
グチャッ
というグロテスクな音と共に、
兄の顔からは笑顔が消えた。
楽しそうに笑っていた兄は次の瞬間から、
ただの肉塊となっていた。
串刺し、
兄は「串刺し」状態だった。
垂直に落下してきた鉄棒は兄の脳天から、
真っ直ぐ突き刺さっていた。
全身に浴びた生暖かい兄の血も、
民衆の断末魔も、その時は何も感じなかった。
だけど、兄の血からはまだ
生命を感じ取ることが出来た。
·
──────A…お前の手は温かいなぁ
·
きっと、コレは何かの間違い。
朝目覚めたら、兄はちゃんと笑ってくれる。
そんな願いも虚しく、
翌日は兄の通夜が行われた。
僕と違って、兄は周囲からよく慕われていた。
葬式では沢山の人が泣いていた。
だけど、弟である僕だけが、なぜか泣けない。
通夜でも、葬式でも、
「悲しい」と感じることさえなかった。
·
周囲からは
「弟さん、お兄様が亡くなったのに
泣かないなんて悲しくないのかしら」
「あの子は強い子なのね」
「いや、冷たい奴なんだろ」
「目の前で兄が死んだんだ……泣けないだろう」
·
どうでもいいよ。アンタらのことなんて。
·
あの時の、兄の顔を今でも鮮明に思い出す。
·
ほんと、泣きそうになるくらい。
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行方不明者X(プロフ) - ありがとうございます！今、続編を公開致しました！悔いのないように、諦めないように、未来へと。一歩一歩。 (2020年10月12日 2時) (
レス) id: ab7e9c281b (このIDを非表示/違反報告)
カルハ(プロフ) - 心の支えにしていただき、ありがとうございます。私としても、行方不明者Xさんの小説は心の支えとなっております。誹謗中傷がなくなってほしいとは言わない。でも、一人一人が悔いのないよう、後悔しないような未来になったらなと思います。 (2020年10月12日 2時) (レス) id: 3b4eeae320 (このIDを非表示/違反報告)
行方不明者X(プロフ) - 本当に人の命は儚いものです……だから悔いなきように生きないとですね！カルハさんは僕の心の支えになってます！ (2020年10月12日 2時) (レス) id: ab7e9c281b (このIDを非表示/違反報告)
カルハ(プロフ) - この前まで、一緒に遊んでいたのに。 私も、お通夜の時、泣きたかったのに泣けなかった。悲しくて悲しくて、それでも涙が出なかった。 人というものは、脆いものですね... (2020年10月12日 1時) (レス) id: 3b4eeae320 (このIDを非表示/違反報告)
カルハ(プロフ) - ...悲しいですね。一緒に、遊んでもらった方を亡くすというのは...。楽しい思い出もいっぱいあった。でも人はいつ死ぬか分からない。私の祖父も、昨日で三回忌になります。私も、祖父によく遊んで貰いました。でも、最後に会った数日後に、死んでしまいました.... (2020年10月12日 1時) (レス) id: 3b4eeae320 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：行方不明者X | 作成日時：2020年5月26日 17時
