VenomSHOCK【黄金の風】

外 ページ27

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『ふぅ』









久しぶりに外へと出た、理由は









「先生！本読みすぎです！外に出て気分転換して下さい！」









我が家のおかん、ロヴェーニのせいだ









最近ロヴェーニが厳しいんだよ、ねぇ？









『それにしても気持ち良いな〜』









イタリアの柔らかい潮風が頬にあたって流れて行く









目を閉じ、風を感じると視界を塞いだことにより研ぎ澄まされた聴覚が色々な音を拾った









人々の話し声、ウミネコの鳴く声、風の音









全てが愛すべき幸せ、慈しむべき理









死んで分かった、何を大切にすべきか









空は青く澄んでいて綺麗だ、きっと僕もまたあの空へ行く









その時はきっと誰かに手を握っていて欲しい









コツ、コツ









目を閉じたことで感覚が尖っているのか、普段よりも周囲の音がより鮮明に聴こえた








こちらに近付いてくる革靴の音







ゆっくり、ゆっくり、まるで何かを労るように









「おい」









プロシュートだ









『なぁに？どうしたの？傷が痛む？』









風を微かに感じながら横目でプロシュートを見ると痛みに少しだけ顔を歪ませていた









さすがギャング








痛くてもあまり顔には出さない









「いや、大丈夫だ……」









少しの沈黙が流れて漸く口を開いたのはプロシュートからだった









「ロヴェーニから聞いた……礼を言う」









『それは何に？それは何に対する感謝？』









「あ？」









だって可笑しいじゃあないか









『僕は医者なんだよ、子供だけど……医者は助けるのが仕事なんだ、なのにどうして感謝？』









プロシュートは理解できないとでも言うように訝しげに僕を見た






そして眉を顰め徐に口を開いた









「救ってくれたことへの感謝だ」









キッパリと言い切られた、その目には強い信念が燻っている









あぁ、そうか









『そうかい……………生まれてこれて良かったよ









ありがとう……』

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