第42夜 やきもちふたり ページ42
瑠姫さんに平謝りをする私を見てクスクス笑っていたのは、壁にもたれて遠くから見ていた碧海だ。
「…ちょっとなに笑ってんの！」
「別に笑ってへんて〜」
文句を言いに近付くと、目を細めて笑う碧海。
高身長でスーツがとても似合っている。
「それにしてもA、ドレス似合ってんな」
「ありがと。碧海もスーツ似合ってるよ」
碧海は、せやろ？と得意げに笑うもすぐにため息をつく。
「でもさぁ、ちょーっと見せすぎやと思うんよな俺。ココとかさ…」
そう言うと、スーッとAの鎖骨から首筋にかけてを指で優しく撫でる。
「っ！碧海、くすぐった…」
「見せとるAが悪いんやない？」
意地悪な表情で囁きながら背中も指先で撫でるから、恥ずかしいようなこそばゆいような感覚になる。
ドレスの薄い生地からは碧海の指の感覚が嫌というほど感じられるし、会場の壁側とはいえ他の人に見られているかもと思うと恥ずかしさで声も震える。
「や、すかい…やめて、っ」
碧海にやっとの思いで伝えると、目を見開き少しフリーズしてから、また大きくため息をついた。
「もうAその顔可愛すぎ、反則やって」
先ほどとは違う優しい顔で微笑むと、Aの頬に軽くキスを落とした。
「ごめん少しいじめ過ぎた。俺、お詫びになんか飲み物取ってくるわ」
そう言って碧海は人混みの中へ紛れていった。
び、びっくりした…そして恥ずかしかった！
そのまま碧海を待っていると、現れたのはグラスを持った祥生だった。
「あ、いたいたA〜」
「あれ祥生？碧海は？」
話を聞くと、純喜さんに呼ばれここに戻れなくなった碧海に頼まれて代わりに来てくれたようだった。
「A何が好きか分からんかったし、適当にカクテル持ってきたけど大丈夫？」
「うん、ありがとう！いただきます」
さっきの熱を覚ますようにカクテルを口にすれば、柑橘系の甘い味がして美味しい。
「なぁ、それ終わったら次俺と踊ってくれん？」
祥生が少し恥ずかしそうに目を逸らして言う。
承諾すると、ほんま？と嬉しそうに笑った。
「めっちゃ嬉しいわ、それじゃもうひとつ聞いてええ？」
祥生の笑顔はそのまま、だけどさっきより低い声で聞いた。
「さっき、なに碧海といちゃいちゃしてたん？」
心臓が止まるかと思った。
同時に諸々思い出し、意図せず顔が熱くなる。
「顔赤くなっとるよ」「言えないんや？」と顔を近づけて問い詰めてくる祥生を誤魔化そうと、Aは必死でカクテルを飲んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「JO1」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲夜(プロフ) - 週7寿司さん» こちらこそいつもキュンキュンするお話を書いてくれてありがとうございます！(*^▽^*) (2021年1月12日 5時) (
レス) id: 6a5774188a (このIDを非表示/違反報告)
週7寿司(プロフ) - 咲夜さん» 私もキュンキュンしながら打ってます！笑更新頑張ります、いつもありがとうございます〜！ (2021年1月11日 23時) (レス) id: 8486858bad (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 第22夜の最後辺りの翔也くんの台詞にキュンｯときた(///∇///)（キュン死するかと思った） (2021年1月11日 6時) (レス) id: 6a5774188a (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(プロフ) - 週7寿司さん» 確かに豆ちゃん食べにきそう…更新頑張って下さい(p｀･ω･´q)ﾌｧｲﾄ〜！！ (2021年1月11日 6時) (レス) id: 6a5774188a (このIDを非表示/違反報告)
週7寿司(プロフ) - 咲夜さん» 純喜は吸血鬼になってもカルボナーラ作ると思います！笑そして豆とか食べに来てると思います笑更新頑張ります！ありがとうございます！ (2021年1月10日 22時) (レス) id: 8486858bad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：晴日 | 作成日時：2020年12月21日 0時
