元人間は悪魔になった【パート４】 (ページ22)

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１０２話　▼ ページ22

ポロがそう言うと、デルキラはパチンッと指を鳴らし木を生やした。
そしてピンク色の花を咲かせた。
これは“桜”だ。

結局の所、デルキラもポロも俺と同じなんだってこと。
楽しいこと、面白いことが大好きで、それを止めようとすることは誰にも出来ない。
だからこそ、彼等は俺の我が儘に付き合ってくれる。

魔王の俺「デルキラにポロ、これは人間界の花じゃねぇか。」

ポロ「んもう、大・大正解ですよォフタバ様！」

デルキラ「綺麗だろ？
そして何より俺が気に入ったんだ！」

魔王の俺「はぁ、人間界の物を持ってきたらサリバンに怒られはしないか？」

デルキラ「ンな固ぇ事言うなよ、サッちゃんぐれぇだよ。」

魔王の俺「ちゃんと隠せよな？」

デルキラ「さっすが、俺の嫁だ！」

ポロ「デルちゃんズルい！
アタシだってフタバ様と結婚したいのに！！」

魔王の俺「おい、誰が嫁だ！？」

俺は思わず顔を真っ赤にした。
仕方ないよな？！

デルキラ「なあ、知ってるか？この花“桜”って言うんだが、地面に着くまでに３枚掴むと１つだけ願いが叶うらしいぞ？」

魔王の俺「願いが叶う、なあ。
ンなモンが存在してたのかよ。」

真剣に応えた俺に、デルキラはドッと笑い出した。
『只の伝説だ。実際に掴まえたところで願いは叶わねぇ』と言い、俺を試したんじゃないかと思ったが、魔王の俺は何も言わなかった。
そして彼等の腕の中で目を瞑った。
俺もそれに吊られるかのように、意識が段々と遠のいていく。

デルキラ｢なあ、フタバ。｣

魔王の俺「なんだ？」

デルキラ「俺とポロが特別にフタバの願いを３つ叶えてやる。
言ってくれ。」

「俺が消えた後、デルキラが魔王になってくれ。」

デルキラ「そんなことで良いのか？
つーか、俺以外に居ねぇだろう。」

ポロ「そうよ、さっきの悪魔達よりもデルちゃんの方が良いからね！」

魔王の俺「アイツ等は、俺と兄さん以外に忠誠を誓わねぇって言ってたしよ。
死んだら、魔王になれるとしたらデルキラしかいねぇ。
ごめんな、弟子であるアイツ等やデルキラとポロを置いていく俺を。」

大切な者を魔界に残し、１人いや兄の２人と未知の世界に行くことは孤独と強い喪失感を伴う。
それでも、残された者達は俺以上に深いはず。

魔王の俺「嗚呼、テメェ等と結婚したかったな」

そう言うと、デルキラとポロ、そして隠れていた弟子達が聞いていて顔を真っ赤にした。