11.緑 ページ11
緑side
Aがおらんくなってすぐに一人の女子生徒が俺に声をかけてきた。
察したしげは何も言わんとその場から離れる。
めんどくさいな、と思いつつ笑顔を貼り付けて立つ。
緑「どうしたん?」
「私、神山くんの事が好きで、もし良かったら…」
緑「ごめん、無理やで」
喋ってる途中やけど、その先の言葉、何を言うんか分かってるから。
緑「悪いけど、さっさと戻ってくれへん?しげも待たせてるし」
普段の俺はこんな事言わんし、態度も全然ちゃうから、それを見て驚いて泣く奴が大半やった。
ああやって教室では“優しい神山智洋”を演じてるから周りに言いふらしても、信じてもらえへんやろうし。
可哀想やな…とか思いながら俺は自然と口角が上がってた。
危ない危ない、抑えやんとバレてまう。
未だ目の前におる女子生徒は驚いても、泣いてもなかった。
緑「…あのさ」
「あんな地味女のどこがええんや」
緑「は?」
「……」
それだけ吐き捨てて、去っていった。
地味女……Aのことやろうな。
その女が去ってから少ししてAとしげが一緒に戻ってきた。
そういやアイツの名前知らんな、と思ってしげに聞いたが知らんらしい。
Aにも聞いてみたけど、首を横に振った。
接点はないみたいやな。
俺がそんな事を聞いてくるんをしげが珍しがる。まぁフッた奴の事なんか興味無いからな。
俺はAを見て、
緑「気ぃつけやなアカンな」
「え?」
Aは何が?っていう顔をしたが、俺はそれに応えへんかった。
なんでこんな事を口にしたんか、自分でもよぉ分からんかった。
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作者名:Aqua. | 作成日時:2021年11月29日 20時