四ツ目神 Ⅱ【JW】 (ページ2)

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桃「リュウセイ、もう大丈夫か？」

青「大丈夫」

桃「マイが帰るんに必要なん、あと形代だけなんや。思い出せへんか？」

青「わからん……」

緑「リュウセイを問い詰めるんは無意味やで、イミゴ。手分けして探そう。大丈夫、筆が見つかったんやから、きっと形代も見つかるよ」

カミヤマさんが私の肩にそっと手をおいて励ましてくれた。

「はい」

形代を探そう。

私はカミヤマさんに話しかける。

「カミヤマさん、その手に持っている本はなんですか？」

緑「ああ、これ？
巻物や筆を探してる時に出てんきたんよ。この四ツ目神社の歴代宮司が書かれた本や」

「歴代宮司？」

緑「せや、この神社や村は歴史が古いから、こうやって書物にまとめてあるんよ。よかったら貸してあげるで」

私は本を受け取った。

「ありがとうございます」

「四ツ目神社って、ずっと中間家が宮司をしているんでしょうか」

緑「そうやね、四津村は小さいけど中間家の統治力は強いよ。なんせ冠婚葬祭すべてを執り行ってるからな」

「かんこんそうさい？」

緑「冠婚葬祭っていうんは、生まれてから死ぬまでの行事のことや。冠は成人、婚は結婚、葬はお葬式、祭は先祖のためのお祭り」

「へぇー」

緑「中間家は古くから宮司であり長でもあるんや。祭政一致(さいせいいっち)っていう言葉は知ってる？政治をしたくば民の信仰を得るんが一番手っ取り早い方法やったんよ。祭事(まつりごと)と政事(まつりごと)は同じってな」

「はぁ…」

緑「ちょっとむずかったかな？」

「でも何となく分かるような気がします」

中間家。お父さんの実家だ。
だから、あんなに大きな家だったんだ。

そんな家を、どうしてお父さんは捨てたんだろう。そんな家だから、お父さんは出て行ったのだろうか。