ギュッとギューッと。

last story ページ40

後から聞いた話。

宅配便と言っておいて宏光が帰ってくる、その名も

“ 宏光お届け★クリスマスサプライズ ”

恐ろしくダサいネーミングのこの企画は俺を驚かせるための宏光と父さんと母さんの演出だとかで。

その後すぐ、サプライズ大・成・功!!って言いながら父さんと母さんが入ってきて宏光と3人でハイタッチしてた。

3人の嬉しそうな笑顔に俺もつられて笑った。


静まり返った夜中。
ベッドに寝転がったときにパタンと扉の閉まる音。
起き上がって向かった先はウォークインクローゼットの前。

ゆっくりドアを開けると背の小さい後ろ姿。
そっと近付いて抱きしめた。

わぁっ、ビックリしたぁ。って小さく呟いた宏光。

「ふふ、太輔だ」

宏光を包んだ俺の腕をギュッと握った。

「おかえり…」
耳元で囁いた。

腕の中でくるりと振り返って向き合った宏光が俺の背中に腕を回した。

「たぁ…」
肩に顎を乗せて喋るから擽ったい。

「好き…ずっと、好き」
消えそうなほど小さな声だったけど聞き逃すなんてこと絶対しない。

「俺も好き」
内緒話でもするように耳に唇を寄せて伝えた。


何度も何度も傷つけた。
それなのに、ずっと好きでいてくれた。

小さな頃にした約束。
破ってしまった俺だけど、もう一度だけ。
約束させてくれないかな。

口約束なんかじゃない、俺だけの誓い。

もう少し、大人になってこの約束だけじゃない、全てを守れるようになってみせるから。

そのときに君に伝えるよ。

ずっと、ずっとそばにいるから。



おわり。

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