居酒屋妄想日記 ３冊目

のんちゃんのキモチ ページ21

〆．



桃「なんやそれ」



低い声に、体がビクッと震える。



桃「そんなん………俺は嫌や……。俺はAに、俺だけを見てほしくて………っ！」



怒っているのに、泣いている。



のんちゃんだって、複雑な感情なんだろう。



「うん……。のんちゃんが初恋を私にくれたこと、本当に嬉しかった。…………ごめんね」



桃「謝ってほしいわけちゃう！！俺は、俺は…！」



私のせいでのんちゃんを傷つけた。



それでも、私は……。



赤「望」



桃「っ！」



のんちゃんの隣に座っている大毅先輩が、のんちゃんを止める。



赤「みんな同じ気持ちや、お前が言わんでもな」



桃「………なんでそんな冷静でおれるん？しげだけやない。なあ！お前らAのこと好きなんやろ！？」



赤「やから、やん」



桃「は……？」



青「…………あー、望はお子ちゃまやからわからんか。俺らは決めてんの。Aが七人のことを、誰も選べへんくらい等しく好きなら、自分が他のやつより好きにさせてやるって」



流星先輩の言葉に、またぶわっと顔が熱くなる。



黄「せやなぁ。今んとこ同率一位やし。俺は、こっから俺に溺れさせたろ思てるけど」



緑「イケメン発言やなぁ………。ま、何にせよ俺がちょっとリードしてる思うけど〜」



紫「んえ？どゆこと？」



黄「ああ…………」



緑「俺、Aとキスしたことあるから」



桃「はあ！？」



智洋先輩の言葉に誰よりも速く反応したのんちゃん。



桃「かっ、神ちゃん！？それどゆこと！！なあ！！」



緑「事故やけど、俺からAにキスしちゃいました」



赤「はあああ！！？神ちゃんっ、それはあかんやろ！！」



揉め出すみんな。



「私のファーストキスくらいどうでもいいじゃないですか……」



赤「よくない！！」
桃「よくない！！」



のんちゃんもいつの間にか通常運転だし……。



橙「好きな子のファーストキスは大問題やで」



緑「初めてやったんや……」



紫「待って、俺だけ話についていけてへん」



私の告白はどこへ行ったのやら。



七人の様子を見守っていると、あの人が私の肩を掴んだ。



青「Aの唇………俺のもんやと思ってたのに」



「随分ピンポイントですね」



青「あほ」



流星先輩の顔が、私にゆっくり近づいた。



〆．

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