涙ボクロ ページ16
( 広臣side )
剛典「 明日仕事早いんで、先寝ます。 」
欠伸を噛み締めながら寝室に消えた岩ちゃんを見送りつつ、残り少ない珈琲を口に運ぶ。
「 あ、珈琲無くなった? 」
広臣「 あー、うん 」
「 私のも無くなったからついでに淹れるよ。 」
そう言って席を立ったAに
お礼を言いつつマグカップを渡す。
カウンター越しに珈琲を淹れるAを
何となく、頬杖をついて眺めた。
「 …臣、淹れずらいんだけど。 」
広臣「 何が? 」
何が言いたいのか分かってるけど
面白半分で分からないフリをしてみる。
そんな俺に諦めたように淹れるのを再開したA
の珈琲を淹れる音だけが、リビングに響いた。
広臣「 …なぁ 」
「 何? 」
ドリッパーから視線は逸らさずに
声を返したA。
そんな彼女に一呼吸置いてから口を開いた。
広臣「 お前さ、5年前の合コン覚えてる? 」
「 5年前…?
…あぁ、臣がいきなり電話掛けてきたやつ? 」
今から5年前。
俺らがデビューするちょっと前の頃。
「 覚えてるよ?
『 春人にバレないようにこっそり来いよ。 』
とか、いきなり電話して来たから
めちゃくちゃビックリしたんだから〜 」
それがどうかした?
頰を緩めながらやっと視線を俺に向けたAに
開きかけた口を閉じて、首を横に振った。
広臣「 …やっぱ何でもねーわ。笑
珈琲できた?」
「 あ、うん。丁度出来た! 」
…話すのは、岩ちゃんからの方がいいよな。
そう心の中で呟いて
いい香りのするマグカップを受け取った。
「 でも、臣が芸能人なんてビックリだよ 」
広臣「 サインならやんねーよ? 」
「 別にいいですけど…
でもまあ臣が夢叶えてくれて、正直私も嬉しい。」
そう言って微笑んだA。
あの頃と変わらない独特な笑顔と
俺とは逆の方にある涙ボクロ。
広臣「 …ありがとな。 」
柄にもなく、そんな言葉が溢れた。
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のんたん - IBUKiさん» 当たり前やん!更新されてないか毎日チェックしてる! (2017年4月3日 17時) (レス) id: f92c7d2c4f (このIDを非表示/違反報告)
IBUKi(プロフ) - のんたんさん» のんちゃん!!読んでくれてありがとう◎ 嬉しすぎ。笑 (2017年4月3日 16時) (レス) id: 0d36f71e24 (このIDを非表示/違反報告)
のんたん - やほー!もーね、いぶきちゃん才能あるわ。いつまでも見てられるね笑 (2017年4月3日 9時) (レス) id: f92c7d2c4f (このIDを非表示/違反報告)
IBUKi(プロフ) - doll0612さん» コメントと嬉しいお言葉ありがとうございます!おかけでやる気が出て来ました!◎更新、頑張らせて頂きます! (2017年4月1日 23時) (レス) id: 0d36f71e24 (このIDを非表示/違反報告)
doll0612(プロフ) - もうっっとっても大好きな小説です!続きが気になって仕方がないです!これからも頑張ってください!! (2017年3月31日 21時) (レス) id: bf06acc331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:IBUKi | 作成日時:2017年3月28日 23時