第8話 ページ9
風「…鬼道？」
振り返ると蒼い風。
いかにも心配です、と言った表情で私を見つめている。
『…なんでここに？』
風「やけに話が長いからな。佐久間に見て来いって言われて…」
『そう…』
申し訳なさそうに頬を掻く彼。
その優しい笑顔が嫌いだ。
見てて不快。
嫌悪感丸出しの私の名を彼が呼ぶ。
私であって私じゃない名前。
風「…なぁ、"鬼道"」
もう、私だけのものでは無くなってしまった名前。
『"アイツ"の事もそう呼んでいるのか？』
私が言う"アイツ"が誰なのか察したのだろう。
彼は気まずそうに目を逸らし、頷いた。
風「そうだよ」
『呼ぶな』
風「…え？」
『"アイツ"のことを"鬼道"と呼ぶな！それは私の名だ！私だけの名前なんだ！！"アイツ"が横取りした私の名だ！』
彼に向かって怒鳴り散らす。
そんな私を見て、彼は更に申し訳なさそうにする。
なぜだか罪悪感が湧いてきて、どうにも出来ない感情を蚊の鳴くような声と共に吐き出す。
『…なるべくでいい、私の前では呼ばないでくれ』
まるで縋るように言葉を零した。
『頼む』
少し間を空けて彼は私の名前を呼んだ。
正真正銘、私の名前を。
風「A」
反射的に彼と目を合わせた。
彼の表情は酷く真剣で、私はどうしようもなく困惑した。
そんな私を他所に、彼は私との距離を詰めてきた。
風「今度からAって呼ぶよ。"アイツ"の話もしないようにする」
この時私は悟った。
何故彼が苦手なのか。
何故彼の笑顔が嫌なのか。
分かってしまた。
『……嫌いだ』
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美味しい木材(プロフ) - 更新いつまでも待ってます！イナイレに飽きたとしてもこの作品だけは絶対に見ます！約束です！ (2020年3月10日 7時) (
レス) id: 9f6bf4ed89 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨煙雨/月夜(プロフ) - 面白い…！次話を楽しみにしています…！ (2020年3月10日 4時) (レス) id: 51bb19e87e (このIDを非表示/違反報告)
彩り野菜(プロフ) - 私こういう小説ものすごく好みです〜好きだな〜更新楽しみに待ってます！！これからも頑張ってください、応援してます！！！ (2019年12月24日 10時) (レス) id: 953f065768 (このIDを非表示/違反報告)
イツキ(プロフ) - おでんさん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2019年12月4日 23時) (レス) id: d483986195 (このIDを非表示/違反報告)
おでん(プロフ) - 次の更新楽しみ！ (2019年11月29日 22時) (レス) id: e34043743b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イツキ | 作成日時：2019年10月20日 9時
