過去編：夜、花、鴉、記憶 ページ44
神聖学園中等部のグラウンドに整列させられた、サッカー部の新入部員達。
緊張しているのか、全体的に表情が硬い。
監督の指示で自己紹介が始まった。
涼「鴉野涼…。小学部の頃からDF一筋です」
友「花園友希です！MFをやっていました。よろしくお願いします」
順調に挨拶が進んでいく中、ある1人の自己紹介に場が響めく。
夜「天月夜空！FWです！よろしくお願いします！！」
その場の皆が驚いたのはその名前だ。
天月…、近年急激な成長を遂げているグループだが…。
友「跡継ぎ…いたのね…」
涼「…驚いたな」
この場にいる者達は全員、名家や財閥、富豪の子供なので、だいたいは会合やパーティーなどで顔見知りだが、今まで天月グループには子供がいないとされてきた為、今この場で天月を名乗っている夜空は異様な存在なのだ。
その後数週間が経ち、友希は1年生チームのキャプテンに抜擢され、涼も試合で活躍するようになった。
そんな中、一向に夜空が試合で使われることはなく、いつもニヤニヤしながらベンチからフィールドを眺めているだけだった。
そんなある日、部室で1人日誌を書いていた友希の元へ夜空がやってきた。
夜「ねぇねぇ友希ちゃん！」
馴れ馴れしく呼ばれた自分の名前に振り返ると、夜空は狂気的な笑みを浮かべていた。
それを若干恐ろしく思いながらも、夜空に向き直り「なに？」と優しく聞き返す友希の目の前に、夜空は作戦板をグイッと近づける。
夜「どうして今日のゲーム。ここにパス出さなかったの？」
まるで純粋無垢な5歳児のように、作戦板の1箇所を指さし、首を傾げながら問いかけてくる。
友「リスクが大きすぎたのよ。それにそこは人が密集していたから、けが人が出てしまいそうだったもの…」
夜「どうして？」
友「え？」
自分の返答に、再び疑問を返してくる夜空の言葉に作戦板から目線を上げて友希は聞き返した。
そしてゾッとした。
彼女の目の前にいる夜空は"狂気"の一言でしか表せないような…、そんな表情をしていたからだ。
夜「怪我してもよくない？だって、使った方が点取れるよ？」
純粋無垢な5歳児の声色のまま、告げられたあまりに冷酷な言葉に友希は怒鳴った。
友「そんな…っ！人間を駒みたいに言わないでよ！！」
座っていた椅子から立ち上がり、夜空から距離をとる友希。
夜「どうして？」
友「え？」
再び向けられる疑問。
狂気的な瞳。
純粋無垢な声色。
友希は気が狂いそうだった。
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イツキ(プロフ) - 雫(ｼｽﾞｸ)さん» ありがとうございます！！はい！読んでみようと思います！！ (2019年6月9日 11時) (
レス) id: d483986195 (このIDを非表示/違反報告)
雫(ｼｽﾞｸ) - とても面白いですね！ 作者さんのペースで更新を頑張ってください。 オリオンの刻印が好きで２つの作品を書いてます。 もし、良かったら読みに来てくださいね？ (自分の事までコメントしてしまい、すみません。) (2019年6月9日 10時) (レス) id: effc3bbfee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イツキ | 作成日時：2019年6月9日 9時
