episode 14:ジョーカー ページ16
動けるようになったとはいえまだ万全ではないと判断された私はマスターからしばらくの休暇をもらった。
翌日、暇を持て余して散策がてらカルデア内を歩いていると、ロビーで何やら楽しげな声が聞こえた。
覗いてみるとジャック・ザ・リッパーとナーサリー・ライムがカードのようなもので遊んでいた。
「あっオロチだ!」
「丁度良かったわ!一緒にトランプしましょ?」
「構いませんが、トランプの遊び方は何も知らないですよ?」
「うーん…じゃあ、簡単な七並べやりましょ!私達が教えるわ」
「では、ご教授お願いします」
スペード、クラブ、ハート、ダイヤの7のカードを並べてゲーム開始。順調にカードを置いていくと自分の手札にジョーカーがあることに気付いた。
「あっジョーカーね。それは自分が持っていないカードの代わりに置けるの。今だったらハートの5の代わりにおいて4を置けるわ」
「ハートの5持ってる人は置く時ジョーカーを手持ちに入れなきゃいけないんだよ。最後までジョーカー持ってた人はあがっても負けになっちゃうんだ」
「なるほど」
数ゲームやって満足したらしく彼女達は仲良く何処かへ行ってしまった。それから私は1人でしばらくそのジョーカーのカードを眺めていた。
あらゆるカードの代わりを果たす万能とも思われるカード。私も誰かの代わりになれる位強くなれたら…
いや、それはなかなか難しいだろう。ここのサーヴァントは皆優秀だ。さっきの2人も戦場では小さな体に秘めた力を思い思いに発揮する。
逆に心配になった。私というカードが来たことで、マスターが破滅に追いやられないだろうかと。
そんなこと口に出したら彼は怒るだろうか。誰かさんは自惚れるな、と言うかもしれない。
結局はジョーカーでも何でもない戦力であることが一番なのだろう。
が、それでも、欲を言うのならばこのピエロの陽の面のように有益である者になりたいと思う。
そんな思いを隠すように私はカードをケースの一番下に入れた。
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作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時