episode 3:壁 ページ5
「暗殺部隊ねぇ。日本も随分物騒になってるじゃねーか。キャスターで召喚されたって事は、お前は魔術師ってことか。どんなの使うんだ?」
「そこまで教える義理はありません。自ら手の内を明かす魔術師がいますか?」
一通りカルデア内を歩いた私たちは食堂の椅子に腰を下ろしていた。
私が茶を啜りながら言うと、青い槍兵クー・フーリンは何とも間の抜けた顔をした。
と思うと今度はつまらなそうな顔をして言った。
「…まぁ、言いたくねーってんなら構わねーけどよ。危なくなっても助けてやねーぜ?」
「不要です。個人の性能は主が把握していればいい。その上で的確な指示を出し、私たちはそれに従い動けばいいのです」
お茶ご馳走様でした。湯呑みを戻し私は案内された自室に向かった。
意見の違い、捉え方の違いで壁というものは簡単にできてしまう。
しかしそんなことを気にする必要は無い。私たちは幸いにも知能を持ったまま霊体から兵器になることが出来た。が、感情などは重荷にしかならない。
持ちうる知識と五感を主の為に使っていればいいのだと私は信じていた。
「また変な奴が召喚されたな…」
1人取り残されたクー・フーリンはつまらなそうに歩くオロチの後ろ姿を見ているが、その瞳にはまだ彼女への興味が残っていた。
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作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時