episode 0 ページ1
冷たい箱の中で十数年、宿った蛇達と血の匂いに耐えながら私は母の迎えを待った。
その間に私の身体は随分と変わってしまって、とうとう不老の体になってしまった。
周囲の瞳に光はなく、指示を受ければあの手この手で標的を排除する、まるで機械のようになっていた。
ここはいわば秘密警察。国のため、政府のため、害となる者は表に出る前に始末する。
そんな冷えきった空間で私も次第に機会へと成り下がっていった。
とある年の聖夜に事件は起きた。
唯一の友人が裏切りを謀り、自爆テロを仕掛けた。
取り付けられた爆弾は動けば首都圏を壊滅状態に、更に中部や東北までも巻き込みかねない程の威力で、防げるのは唯一魔術師であった私しかいなかった。
ただ封じるのでは駄目だ。彼は仲間を探していた。だから私たちは分かり合えた。
彼を抱きしめ、蛇に私ごと喰らわせ、静かに爆破の時を待った。
「あぁ、君はそれでも、世界の味方をするんだね」
「そうさ、人に罪があるだけで世界に罪はないのだから。さぁ早く私も連れて行ってくれ」
あぁ人とはなんと罪深き生き物なのか。いっそ神に断罪して頂ければいい。
そうやって毒を吐いているが、それでも私は、
その罪深き人に成りたくて、最後まで成れなかったんだ。
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時