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海水 ページ3

血液は海水と似ている。鉄錆が濃く香る塩水。汗も涙もナトリウムのおかげで塩辛いのだから、あながち間違いではないだろう。
母なる海、とはよく言ったものだ。
大きすぎる置物の貝から耳を離すと波の幻聴が遠ざかった。ああ、海が見たい。だけどお金は貴重だ。彼、彼女らの命を取ってまで奪ったのに、そんなことに使ってはならない。
生きる意味すらないくせに、だけど死にたくない私は今日も息をする。

そう言えば、からっぽの彼は今どこにいるだろう。
陰惨な事件現場で邂逅を果たした不思議なピンク髪の子が頭を過る。彼は4人家族に対し異常なまでの執着があった。憎しみすら感じるそれは、けれど憧れの裏返しであることに、彼は気づいているだろうか。
考えて、首を振る。さて、切り替えよう。
知恵を絞らねば生き残れない。
面倒だと溜息をついて、全部投げ出してしまいたかった。だけど私は生きていたい。

雨水→←湯水



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作者名:ふたひみ | 作成日時:2021年6月25日 10時

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